〈ヨドコウ迎賓館〉を見学した翌日が〈甲子園会館〉の公開日だったので、あらかじめ申請を済ませておいた。あいにくの曇り空。JR神戸線の甲子園口駅から概ね徒歩15分で到着です。
www.mukogawa-u.ac.jp
左右対称の外観は旧帝国ホテル同様「ライト式建築」として知られています。設計は旧山邑邸の設計監督を行った遠藤 新。1930年(昭和5年)、長期滞在型のリゾートホテル「甲子園ホテル」として竣工。しかしホテルとしての経営は短期間であり、日本海軍に接収され、その後米軍の社交施設として利用され、接収解除後の1965年、武庫川学院が国から譲り受け、修復作業を行い今日に至っています。
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撮影機材は、SONY A-900とminolta AF17-35 F3.5G および、AF70-210 F4 です。
この日の見学者は15名ほど。ほとんどが高齢の方だが、女学生も。会社休んで参加してるのはわたしくらいか。。。引率の先生と挨拶を交わし、いざ入内部へ。
旧ホテルのロビーに当たる場所から正面玄関を望む。中央に回転扉、左右にはかつてのフロントがあります。
ロビーからかつてのボールルーム(宴会場)だった西ホールへ向かう途中にある日華石(にっかせき)でできた「蹲(つくばい)」。わかりづらいですが、水が滴る箇所に「打ち出の小槌」がデザインされています。
設計者・遠藤新の計らいで、冬至の前後の午前に、この蹲のある間の上部にある5つの窓から入る太陽光が、蹲の日華石に彫られた打出の小槌を照射するそうです。
市松格子の光天井が美しい西ホール。わたしの背後の2階はバンドスペースがあり、かつての宴会を盛り上げたそうだ。
複雑な装飾が施された西ホール。見学ツアーは続いて中庭へ移動です。
褐色のタイルとテラコッタの装飾が特徴的な建物の中庭です。
日華石(にっかせき)の彫刻と壁面タイルで構成されたこの塔は、船橋を想起させますね。
幾何学的な彫が施されています。一説に、旧帝国ホテルでライトがチョイスした大谷石を、このホテルで採用しなかったのは、日華石が大谷石よりも風雪への耐久性があるかららしい。
ここにも「打ち出の小槌」のレリーフが見て取れます。
特徴ある逆三角形の柱も、近くで見ると、、、
一枚一枚手彫りで波模様が彫られ、積み上げられていることがわかります。その後の改修で耐震補強も施されたそうです。
この位置から見るとなおさら船、特に航空母艦を連想させます。
屋上から見た景色を撮っておくべきでした。ツアーは再び館内へ。
ロビーを中心に東西のホールをつなぐ赤絨毯の敷かれた廊下。映画『ALWAYS・三丁目の夕日』のロケにも使われたそうです。柱の意匠に注目。また館内の照明には貝殻型のシェードが統一使用されています。
東西棟のてっぺんにある棟飾り。建物全体を貫くモチーフとしての「打ち出の小槌」がここにも。
かつての大食堂だった東ホールは武庫川女子大学・建築学科のスタジオとなっています。そのうちここも映画のロケで使われそうな予感が。。。写真では見えないですが、最深部の天井は壁面装飾が旧山邑邸の食堂のそれと非常に似ています。
見学ツアーの最後は「甲子園ホテル」時代にバーとして使用されていた部屋でレクチャーを受けます。
カラフルなタイルが見ものです。京都の「泰山タイル」なのかしら?
バーだった部屋の暖炉の左側には竣工年の「1930」をかたどったタイルがはめ込まれています。
見学の最後に、館内にある売店で武庫川女子大学のノベルティを購入できます。ことし、2009年は武庫川学院の創立70周年だそうで、その記念キャラクターとして〈Lavy〉が生まれたんだそうでが、このラビーが結構いけてる。
武庫川女子大学の事業部のウェブサイトで関連グッズが紹介されています、通販で買えないのが残念です。
©Mukogawa Women’s University
また、改装後僅かに残ったという客室の見学が今回叶わなかったのは残念です。幾多の使途を経て、往時の状態で公開できる代物ではないのかもしれませんね。しかし、いずれにせよ保存、活用している関係者には敬意を表したいと思います。
今回の関西2大近代化遺産を巡る旅はここまで。
前日訪れた〈ヨドコウ迎賓館〉の模様はこちらからどうぞ。