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けいおん!!雑感(2)#7 お茶会!の曽我部恵先輩についての再考


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豊郷小学校旧校舎の1階(ヒント)
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前回から引き続き、「けいおん!!」2期#7『お茶会!』で議論が沸き起こっている曽我部恵生徒会長のタイの色問題について、私なりに考え、結論を出してみたいと思う。


====

ここから先ネタバレを含みます。

まずは、曽我部恵を取り巻く状況を整理してみたい。
彼女が原作コミックで登場したのは「まんがタイムきらら」2009年3月号(同年2月発売)である。
この登場回がまさにストーキング回だったわけ。
そして、このとき原作の時間軸はどう進行していたのかというと、唯たちはすでに2年生の3学期を迎えており、3巻の途中で3年生に進級しそのまま3年の夏まで物語りは進行してしまう。
ちなみに「けいおん!」単行本3巻の掲載順を見ると次の通りだ。 ※印は梓が登場しない回

単行本用書き下ろし HTT初詣回
きらら2月号(09年1月発売) メイド修行回
きらら3月号(09年2月発売) 曽我部ストーキング回 ※
きららキャラット4月号(09年2月発売) バレンタイン回
きらら4月号(09年3月発売) 部室大掃除回
きらら5月号(09年4月発売) 新入生勧誘回
きららキャラット6月号(09年5月発売) 進路回※
きらら6月号(09年5月発売) 修学旅行回
きらら7月号(09年6月発売) 梅雨回
らら8月号(09年7月発売) クーラー回
きららキャラット9月号(09年8月発売) 律紬デート回※
きらら9月号(09年8月発売) 合宿回
きららキャラット10月号(09年9月発売) 2年生プール回
きららフォワード8月号(09年7月発売) 律澪馴初め回

ここでは梓が登場しない回が結構ある、ということを覚えておくこととする。2年生プール回のように梓以外のHTTメンバーが登場しない回もあるが。

それではこの原作ストーキング回を見直してみよう。
ここでは和が恵から生徒会長の座を引き継ぎ、同時に澪FC会長の座も引き継ぐという描写があり、コミック3巻の掲載順の時間軸から考えると、唯たちが2年生→3年生、恵が3年生→卒業と見えてしまうのが自然だ。
しかし、この原作回には一箇所不自然な描写がある。梓が登場しないのだ。前述の状況だと、恵の送別ライブにHTT5人がそろっていないのは不自然である。

原作のポイントをまとめよう。

1)時間軸はいつなのか?
2)ライブに梓がいないのはなぜ?
3)実はこれ以前にの原作(単行本1巻・2巻)に曽我部恵は登場していない。

続いて、「けいおん!」1期での恵の登場シーンを振り返ってみよう。

1-06-02.jpgまず、#6『学園祭!』での舞台袖のシーン。和の隣にいる生徒は台詞もキャスト紹介もされていないが、恐らく恵と想像できる。

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同じく#6『学園祭!』にて、唯たち桜高軽音部の演奏後拍手する和と恵と思われるキャラ。タイは緑。


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続いて、#11『ピンチ』で登場。このときは生徒会長(曽我部恵ではない)としてキャスト紹介もされ、声優も児玉明日美さんが演じている。
講堂使用届を出し忘れた軽音部に飛び込む和。

1-11-02.jpg毎度のことw ながら愕然とする軽音部の面々。

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生徒会長に懇願する軽音部全員と律をかばう和。生徒会長の恵も折れ、無事届けが受理されることに。
ここで恵のタイは描写されていない。

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この回の騒ぎの発端となった自身の勘違いを恥じ、和にお礼を言う律。

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最後に#12『軽音!』では客席でHTTの演奏に聴き入る姿も確認できる。


さあ、以上「けいおん!」1期のポイントをまとめてみよう。

1)唯たちが1年生のとき、すでに恵は生徒会に所属(タイは緑)。
2)唯たちが2年生のとき、恵は生徒会長である(タイの色は不明)。
3)実は恵はアニメ1期上ではオリジナルキャラである。

そして「けいおん!!」2期#7『お茶会!』である。

散々いろいろ語られているので、ポイントだけ挙げると、

1)梓が生徒会長の恵を知らないのはなぜ?
2)原作同様、恵の送別ライブに梓がいないのはなぜ?
3)恵のタイの色が緑から赤になっているのはなぜ?
4)そもそも律たち3年生はいつの3月を回想しているのか。

・・・以上、原作、1期、2期の曽我部恵を中心とする状況をまとめてみた。

では少し視点を変えて、桜高軽音部(ここでは製作委員会のこと)側の事情を想像してみよう。
2009年4月、「けいおん!」のオンエアがスタートしたのだが、原作では遡ること数ヶ月前には曽我部恵ストーカー回が発表されているため、この回には委員会も目をつけていたはず。だからこそ、実名は出さないまでも生徒会キャラとして、かきふらい氏の原画に沿った容姿で第1期で登場させている。
しかし、13回という全体の尺の関係からか、結局原作のこの回は第1期で描かれることは無かった。

※アニメ1期は#14『ライブハウス』まで含め、単行本2巻までのエピソードで構成されている。

その後、2期の製作が決定し、委員会もこのエピソードを使わないのはもったいないと考えたのだろう。
単行本3巻の掲載順でいうと飛ばされても仕方ないところだったが、結果として上手くまとめた良回として7話は仕上がったと思う。

だが、どうだろう。「タイの色が1期と違う」なんて単純なことを製作委員会&京都アニメーションが気づかない、ということがあるだろうか?

そりゃ、2期ひとつとっても、OP、EDですでに作画修正が入ってますよ。しかし、7話を製作するにあたって、彼らはもう一度時間軸の確認を行ったのではないか?だからこそ今回のオンエアという結果が出たのではないか?
とは言えないだろうか。

・・・どういうことか。2期7話の設定が正しいのだ。つまり1期の設定がおかしかったのだ。

この視点でもう一度#7『お茶会!』を見直してみるとどうだろう。本エントリー冒頭の写真のヒントも参考に。

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冒頭、和が生徒会室の片づけをしている。

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想像するに、実は、

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高校3年の夏、和が生徒会長を引退することを示唆している描写であろう。

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そんな中、整理していた書類から秋山 澪FCのカードを発見し、曽我部恵からFCも引き継いだことを思い出す。そして、FC会長として「何もしなかった」というある種無駄な責任感が芽生えてしまう。

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そこで軽音楽部の部室を訪ねた和は、現役の澪FC会員のために茶話会を開いてくれないか、という相談を持ちかけるのだ。

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このとき梓から「曽我部先輩って誰ですか?」発言が飛び出す。そして律たちの回想へと場面は転換していく。
律が「あれ、梓は知らないんだっけ? ・・・あれからそんな長い月日が流れたか・・・そう、あれは卒業式前の3月」と想い出す台詞は、梅雨明けの7月中旬から同じ年の3月を回想するには少し不自然。

このカットは誰かに見られていると廊下で恐怖する澪。教室から出てきた律が心配そうに澪に近づいていく。ここで私が注目したのは澪の背景。

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これは豊郷小学校の旧校舎を巡礼した方ならわかると思う。澪の背景にウサギの像が描かれている。
実はこの姿勢でウサギがいるのは校舎の1階だけなんですね。
ここで思い出してほしいのはアニメ1期の設定。澪を除く軽音部メンバーは2年生になったとき教室が2階へ。だが律も含めた皆が1階で授業を受けていたとすると、律たちは自分たちが1年生の3月を回想している、ということになるのです。

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そして澪の回想。澪は生徒会室の和に窮状を訴える。そして和を訪ねてきた恵と対面する。確かにここで描かれる恵のタイは赤だ。そしてCVは児玉さんだ。

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恵の不自然な言動に違和感を覚えた澪と和はそれとなく恵を追及するが、結局犯人は恵であることが判明。しかし恵の澪を想う純粋なファン心理に応えようと唯たちはある計画を実行する。

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講堂に恵を呼び出し、まさかの送別ライブを決行!ここでのキーワードは澪が「桜高軽音部」としてMCしている点。

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恵の瞳に映る反転した桜高軽音部メンバー4人。

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演奏後、満面の笑みで軽音部に謝辞を述べる恵。

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その笑みを見てこちらも嬉しい軽音部メンバー4人。

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そして和が生徒会長と同時に澪FC会長も引き継ぐこととなったのだ。

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こうして回想が終わり、話は茶話会へ。唯、律、紬と皆諸手を挙げ賛成。こうして話は後半へつながっていく。ここの紬の顔、いいですね。

こうして諸々の過去にいったん区切りをつけ、物語は#8『進路!』へと進んでいく。いみじくも今話のエンディングで恵が訪れていた公園は札幌の羊ケ丘展望台だが、クラーク博士像の意味するところは、「遙か彼方にある永遠の真理」を指し、そこに向かい大志を抱けとの思いが込められている。 ※公式HPより
何とも出来過ぎた脚本・演出ではありませんか。

長々書きましたが私なりの結論。

*原作単行本3巻のエピソードは唯たちが1年生、曽我部恵が3年生のときのエピソードとしてみるのが妥当。ゆえに梓も登場しない。一連の時間軸になぜポツンと挿入されたかは不明。

*2期7話でこの原作回をやろうとすると1期とのさまざまな矛盾が生じることを知った製作委員会は敢えて曽我部恵のタイを赤くすることで、第1期のミスリードとの決別を図った。
よって前言撤回で、前回のエントリーで書いた2期DVD発売時の恵のタイの赤から緑への修正は行われない。

*私のこの勝手なロジックだと、矛盾が集約されるのが1期#11で、唯たちが2年生のあの回で、恵はすでに卒業しているので。。。#12はOGとして(なぜか制服を着て)学際に観客として参加している、ということになる。。。

以前の記事でも書いたが、かきふらい氏を含めた製作委員会は綿密にクロスオーバー的な打ち合わせを行っている可能性が高く、原作では今回からの流れで、すでに恵が再登場している。これから冬の回に向けてアニメでも曽我部さんが拝める日が来るだろう。

【追記】
裏づけとなるかどうかだが、タイの色問題の発端となっていると言ってもいい原作なのだが、前記の通りその後曽我部恵が再登場している。「まんがタイムきらら」2010年5月号がそれ。
ここまでワイワイ言っておきながら、ネタバレも含むので、概要は省くが、ここで恵の台詞でこういうのがある。

「はい、りっちゃん これでいい? 去年の入試問題と私のお古の過去問題集」

そして背景となっているのが「英語120分」という冊子と「N女子大2009」という赤本風の書籍だ。
「去年の入試問題」と「私のお古の過去問題集」がそれぞれどちらを指すのかで解釈は異なるのだが、私の理解では「去年の入試問題」が薄い方。「私のお古の過去問題集」が「N女子大2009」とある厚い方だ。
そこで赤本のHPを見てみると、刊行される本は大学別でその年3年生(浪人も含まれる)が利用するもの。今年は2010年だが本自体には年明けの受験時の年度が印刷されている。つまり今出ている本にはすべて2011年と記されてるわけ。すると赤本の記載年度から推測されることは

赤本の記載年     実際の学年
2011年  
2010年             唯たち高校3年生   恵大学2年
2009年           唯たち高校2年生   恵大学1年
2008年             唯たち高校1年生   恵高校3年

ということだ。恵が持参した赤本に2009と記されているということは恵が高校3年生のとき購入した赤本であると考えるのが自然だろう。実際掲載されている問題は2008年以前のものだ。「去年の入試問題」というのは実際に恵が受けた問題だ。
どうだろう。だから、原作曽我部ストーキング回に梓が登場しない=「けいおん!!」#7の回想で梓が登場しないという根拠になりはしないだろうか。

【追記おわり】

【2010年8月21日 追記再び】
雑誌「Newtype」での山田監督の公式コメントを受け、この話題を再々考しました。
結果、当エントリで記した結論とは大きく異なるものとなりました。
更に混沌とした状況となったとも言えます。
【追記終わり】

www.menehunephoto.net



©かきふらい芳文社桜高軽音部


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