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『映画 けいおん!』雑感まとめ。多分これが最後です。


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『映画 けいおん!』。ここではネタバレ承知で思いついたことを纏めて妄想混じりに書きなぐってみたい。2012年1月4日バージョンにして完結編です。一部過去のエントリとの重複もあるけれど、全部ここで纏めます。物語の展開順では決してないので、駄文の上にさらに見辛いことかと思いますがご容赦を。

※一部FANの方のブログ等を参考にした項目がありますが、自論はそれとは違ったものとして纏めたもの、ないし、そこへ私が寄せたコメントを加筆しています。

  

 

 

【総集編的に、皆出してみました】


どこかの実写映画でよくありがちな「シリーズ登場人物・全部出してみました」展開。
劇場版だし、FANサービスだし、「見ている君ら、嬉しいでしょ」てな感じで本作でも「けいおん!」TVシリーズで登場した主要なキャラクターが押しなべて登場している。
貴方はどこまで気付かれましたか。

*「田井中 律」の弟、「田井中 聡」までは分かる。そして1期13話で登場した聡のイケメン友人。映像だけだけど登場。ロケ地は出町柳駅のホーム(改札から見て右側のそれ)。

*「平沢 唯」の自宅の隣に住むおばあちゃん、「一文字とみ」はん。和と会話しているのはどこかなあ。唯の自宅の前のような気もするけど。

*「山中さわ子」の恩師でもある「堀込先生」。ちゃんと出番はあります。しかも笑いを取るポジション。さすが金谷はん。

*(難易度高?)「カップル」。女子のほうがお団子髪のあのカップルです。

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1期13話、ムギがバイトに励む「Max Burger」でポテトを勧める相手として初登場。その後も幾度か登場。芸が細か過ぎ、京アニはん。ていうか、あの彼女って、多分山田監督か堀口作監のどっちかですよね。


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そして、2期4話の「修学旅行!」でも「いわたやまモンキーパーク」でも、ムギがおサルにエサをあげることが出来たシーンで登場(後ろ姿)。

さらに劇場版では、修学院駅のホーム(何故か下り)ベンチに座るムギの傍らに登場します。一連のシークエンスでなぜかムギ繋がりなのが気になります。

*「河口紀美」はん。これは簡単。CWMライブ出演者ははぶれませんよね。

*「3-2モブたち」。特に立花姫子、当社比150%の可愛らしさ。TV版から少し良い子補正がかかるか。「中島信代」も可愛らしさ当社比150%アップ! 「若王子いちご」も良い子キャラ150%アップ、といった感じ。言うまでもなく「宮本アキヨ」「高橋風子」など、一連のモブキャラがもう可愛すぎて。。。

そういえば澪FAN CLUBの「佐々木さん」、出てましたっけ。髪が緑なので気付くと思ったんですが。何度か観て気付きました。「教室ライブ」の際、歌う澪の写真を携帯で撮りつつ「永久保存だね!」と。因みに佐々木さんが澪と同じキーホルダー「い」を携帯にぶら下げてる、というのは「わざわざ京都まで買いにいった」とか「フェイク」とかではありません。

HTT3年生はそんな「どこでも手に入るキーホルダー」をわざわざ「京都土産」として梓に提示したのです。ここは分かってあげないと。恐らく竹下通りでも東京タワーでも売ってますよ。あの手のグッズは。八ツ橋とか、そんなものではなく、軽音部としての5つ目の言葉を、最後の一人、梓に「ぶ」として残したかったからからなんです。因みに既出だろうけど、「けいおんぶ」のキーホルダーも桜高軽音部の入部順なんですね。

【Max Burger】

白川通の「Max Burger」も登場していました。いつものテーブル席ですね。ただし、外観や看板の描写はなし。テーブルの上にもドリンク以外はアップルパイしか描かれていません。因みに、「ロッテリア」はんは公式のタイアップ・スポンサーですが、「ロッテリア」の公式サイトで確認した限り、アップルパイはありませんでした。
ご存知の通り、「マック」のサイドメニューにはありますね。

【オリジナル・サウンド・トラック】

TVアニメ版のOSTを多用(流用)しなかったのは何故ですかね。もちろん劇場版OSTがあったから、なんですが、製作委員会はんは基本、(商業的に)過去のものには囚われない、スタンスなので、仕方ありません。サービスで割り切るなら、既存のサントラをもっと多用したほうがFANには響いたはず。百石はんの劇場版OSTも頑張っていて、唯たちが卒業式当日に校舎屋上を走るシーンで流れるそれには涙を禁じえませんでしたけど、それでも、既存曲で代用できるシーンは幾つかあったと思う。

因みに、HTTメンバーが成田空港(と思われる)でキャッキャウフフしてるバックで流れるOST #14. 海に行こうよ! は百石はんがThe 5th Dimensionの「Up, Up And Away」にインスパイアされた曲。「海」というのは「海外」だったんですね。この曲にインスパイアされた曲として、Swing Out Sister のYou on my mind が挙げられます。

また、HTTメンバーを乗せたJL401便が離陸するときのOST #15. 水浴び大好きあひるちゃん は百石はんが Barry White の「Love's Theme 」にインスパイアされた曲と思われます。

そして、機内で繰り広げられる唯と梓のNo Japanese 寸劇のバックで流れる #16. 地中海楽団 はポールモーリア・グランド・オーケストラの オリーブの首飾り のオマージュ。

HTTメンバーがTAXIでロンドン市街に向かう場面で流れる #19. Air of northern countries は多分にU2の Where The Streets Have No Name を意識していると思われます。

さらに、唯のロンドンの早朝散歩のバックで流れる、#31.お日様キラキラ散歩道 は The Beatles の Penny Lane を連想しなくもありません。

また、 #34. 女子の集中力 にはELOに影響を感じますし、#35. Red jacket はYMO のSolid State Survivor を意識しているかと。

 

【劇場版ラストシーンのHTT3年生4人の脚だけのショット】

あれはお気づきの通り、川端通を北山通の修学院駅方面から横切るカット。そして、唯が両手を広げて羽ばたく真似をするシーンは高野川に架かる松ヶ崎橋での出来事です。このシークエンスはかきふらい先生の原作から引っ張ってきたネタですが、唯の「ある台詞」が意図的に省略されています。詳しくは調べてくださいね。

 

【OPとEDアニメーション】

「映画 けいおん!」のOPとEDはTVアニメに準拠して1分30秒の尺に収まるように構成、演出がなされています。
TV版と同じ土俵でOP/EDの演出勝負をしたかったスタッフの拘りを感じます。もちろんこの素材のノンテロップ版はBD特典で収録されるでしょう。

 

【ちょっと真面目ネタ】

紬が他の3年生3人にiPodらしきプレーヤーで「あの曲」のメロディー(主旋律なのか、どうか)を聴かせるシーンがあります。あれだけ作詞で商業的展開(葉書ね。このリンクが「けいおん!」の凄いところ)も含め作中で頑張っておきながら、作曲に関してはこの扱い。ここは嘘でもいいから紬の梓に対しての想いを交えつつ作曲の過程を描いて欲しかったところ。ムギの自宅(自室)を描くのが困難でも、ここは頑張って欲しかった。

 

【中野 梓という女の子】

1期途中からの登場でしたが、大分印象が変わりましたね。もともと押しに弱い娘でしたけど、TVアニメ版2期を通じてどんどん丸くなって、HTT色に染められていく梓だったわけだが、全般、竹達はんの演技は劇場版を通じて、とても良かったと思います。

 

【聖地巡礼】

前にも書いたけど、修学院・一乗寺近辺の実在するモデル物件が幾つか初登場しています。劇場版で「けいおん!」シリーズ初登場を果たしたのは、白川北山通の三叉路(正確には五差路かな)。修学院病院と、その脇に建つ修学院交番。そして、同じく初登場を果たした、一乗寺にある知る人ぞ知る書店「恵文社一乗寺店」 。「けいぶん!」。。。
また、高野川に架かる松ヶ崎橋は今回もラストあたりで効果的に使われています。橋のたもとに建つホテル「アピカルイン京都」も初出。ぜひ訪ねてみてください。ロンドンは私的にはちょっと。。。

 

【再びちょっと真面目ネタ】

エンドロールで「Singing!」と「ふわふわ時間」の間に白味(無音のこと)を入れたのは解せない。これを書いているいまでは、劇中歌CDが発売されて、「ふわふわ時間」が収録されることも分かるんですが、あのエンドロールの繋ぎは無いと思う。Singing!」がフェードアウトする曲ではないので(というかHTTの楽曲でFOする曲は実は無い)、クロスフェードでつなげるとか難しいんだけど、あの白味はいただけなかったかなあ。ライブBD/DVDでお約束の「いい夢見てね」のクロスフェードでもむしろ良かった。これはパッケージ化された際、上書きする輩が必ず出ると予想。

 

【成田発ヒースロー行きの日本航空 1145発、JL401便という便】

は実在しますね。さすがにタイアップしてるだのことはある。例のツアーもこの便なのかな。ただし、離陸時の作画とロンドンからの帰りの離陸シーンの作画。ともにCGなのだろうか。旅客機が上手くないと感じました。

 

【ロンドン】

では予想が当たって、シャーロック・ホームズ・ミュージアムがインサートされていて、にんまり。ムギの希望だったんでしょうね。

www.menehunephoto.net

 

【卒業式当日の屋上と廊下】

ひとり遅れて3階までたどり着く唯。バッグには卒業証書が乗っかっている。2期24話で2階の教室から3階へ上がる唯たち4人、そして1階の生徒会室に降りる和。あれは名演出でしたが、そこで交わされた唯と和の会話があったから、唯は少し送れて3階へ、という流れです。唯たち3年生は卒業式当日、暖めてきた梓へのプレゼントを渡す段になり、偶然開いていた屋上へ。次々に大声を上げて走り出す4人。それは余りにあっけなく終了した卒業証書授与式と対になっている。彼女たちにとって、公な儀式よりも、かけがえのないただ一人の後輩へプレゼントを渡す「儀式」の方が数倍大切で、緊張することなのだ。

その緊張をほぐすために、叫ばずにはいられなかった。走らずにはいられなかった。そして「儀式」前のそれぞれの緊張の度合いを吐露するシーンから連なり、一陣の風に煽られるように見上げた唯たちの目に、高みへ羽ばたく1羽の鳥が映る。方や梓は、教室でHTT3年生への感謝の手紙をしたためている。この手紙を書くきっかけとなったのは同じく2期24話の梓と唯の妹、憂とのやり取りだったことを思い出して欲しい。あのシーンで梓はついに唯たち3年生の卒業を「お祝い」しようと決めたのだ。TVシリーズ2期の終盤、梓はおぼろげだった3年生の卒業が現実のものとして迫ってくるのを感じていた。「何かしてあげられることはないのだろうか」。そんな思いの発露となったのが2期22話、で梓が3年生に贈った「チョコケーキ」だったのだ。劇場版のオープニング映像が象徴的にこれらの事象とのリンクを物語っている。

こうして、「お祝い」のため、先輩たちに手紙をしたためている梓の元にも、廊下の窓越しに物言いたげな風が伝わり、廊下に出た梓は窓から唯たちが見た鳥と雲を目にするのだ。それを眺めながら梓は額に手をやるのだ。そう、見られたくない恥部がどうなっているのか確認しているのだ。先輩たちの「お祝い」をすることは決めた。でも今朝こしらえた額の傷とそれを覆う絆創膏は何のメタファーでしたか。この一連のシーンでは、鳥や雲はさほどの効果を期待して描かれているとは思えません。しいて言うなら、鳥は「決意」または「去り行く者」の象徴となるのでしょうか。

そして雲は「軌跡」。このシーンでは卒業生、2年生、それぞれの「儀式」に向かう直前の不安を表現していることになります。3年生の不安と緊張は前記の通り表現されています。梓の場合、上手に手紙を渡せるだろうか。さり気なく祝辞を述べられるだろうか。おでこの絆創膏を見られはしないだろうか。梓も「儀式」を目の前にして緊張がマックスに達しようとしていたそのとき、一陣の風が梓を廊下に引き寄せ、あの鳥と雲を見せたのです。そして梓も改めて決意するのです。今日くらいお茶淹れようと考えていたのですが。。。そしてここからの展開はご存知の通り、TV版2期24話の梓視点、劇場版の3年生視点でそれぞれ異なる描写で展開していくわけです。

 

【教室ライブでの唯と梓のやり取り】

「U&I」の間奏で唯と梓が向き合って演奏するわけだが、それぞれ異なるフレーズ(アレンジ)を弾くところを、梓がふざけて唯と同じアレンジで弾いたものだから唯は最初びっくりした顔をする。次の瞬間笑い合う唯と梓。「こいつー」って感じで唯が突っ込み、梓は「てへぺろ」、って感じなんだろう。

1期12話で梓は澪からこんなことをお願いされます。 「今日から、リードの練習もしておいてくれないか」そして、 「梓もちゃんと練習しておくように。唯がいなかったときのためじゃなく、今後のために」と。

そして、間奏が終わり唯は歌うのだ。梓の方を向いて。「やったなー。じゃあ、私はこれで返すわ、ドヤ!」と。「キミの胸に届くかな?  今は自信ないけれど   笑わないで   どうか聴いて   思いを歌に込めたから」。なぜ私のほうを向いて歌うの、と不思議がる梓。そして唯は決意を解き放つように机のステージからクラスメイトの中へジャンプするのであった。来るべき「儀式」の唯から梓への予告がなされているんですね。

【ロンドン凱旋教室ライブから「天使にふれたよ!」演奏中の回想シーン時系列について】

1)劇場版にて展開する「教室ライブ」は卒業式前の最後の登校日。でも、卒業式まではまだ数日から数週間の猶予がある。この日を最後に一旦部室から機材(特にドラムスとキーボード)が撤去されたと推測される。

2)劇場版「梓へのプレゼント」の練習描写が律自宅、河原の道、、、が展開される。

3)唯たちが「私服」の上に制式のコートを羽織って梓にバレンタインのお返しを持って来るのは「ホワイトデー」(3月14日)の描写。

4)劇場版「梓へのプレゼント」の練習描写が唯の自宅で「平沢チキン」相手に展開。

5)2期23話「放課後!」卒業式の後、梓に「例のプレゼント」を贈呈するためもあり、敢えて、その前日に登校している「変な3年生4人」。その4人の朝から一日を追う神回。アバンで一旦撤去された機材が再搬入されるカットがある。そして、例のカセット・レコーディング。思えば、あのカセット・レコーディングが無ければ、何で先輩たちはまた機材搬入してるの? と梓に勘ぐられかねない展開ではあったと思う。

6)卒業式当日&梓へのプレゼント授与(3月下旬と思われる)。

 

【コートと制服について】

梓からもらったバレンタインのチョコケーキのお返しに、唯たち3年生が「私服」の上に制式のコートを羽織って桜高に「侵入」する描写だが、唯たちが私服で登校したのは憂の合格発表を除き、初めてのこと。また、ロンドンに制服を持参した唯たち(何故か梓も持参)が「制式」のコートでなく、私服のコートを羽織ってライブ会場に向かう、という描写もシリーズ初と思われる。

【ロンドンライブでの唯と梓の靴】

桜高の制服持参までは一応お約束。そして、澪、律、紬はちゃんとローファーも持参している。でも唯と梓はそうではない。唯は初手から赤いハイカットのスニーカー。梓はカムデン・タウンで入手した、同じくハイカットの白いスニーカーを履いています。

【唯の部屋のハンガーにかけてある制服のボタンについて】

劇場版アバンでは通常モードの唯らしく、ハンガーにかかったブレザーのボタン前ははだけています。そして、これもいつもの唯らしく、サイドボードの目覚まし時計を止めて、二度寝に突入。。。この流れ、カット割りはほぼTVアニメ版1期1話の流れを踏襲していて、そこでもブレザーのボタンは留められていませんでした。入学式なのにね。

劇場版アバンのこれら一連の描写は、前記の通り、「平沢 唯」のキャラクターを紹介するためのもの。特に劇場版から入ってきた一般客のために。それ故、「唯」を表す記号として、レスポールやタイツ、かばん、そして二度寝という「通常モード」の唯を描いているわけです。1期1話では妹の憂に起こされる唯でしたが、劇場版では一人で起きられるようにはなったようで、ほんの少し成長の跡が窺えます。

一方、劇場版で描かれる、卒業式前夜の唯の部屋における唯と憂とのやり取りのシーンでは、ハンガーにかかったブレザーのボタン前は留められています。卒業式前日といえば、TVアニメ2期23話「放課後!」において、部室でいとおしむように一日を過ごすHTT3年生の様が描かれるのだが、この23話のアバンで唯が制服のプリーツスカートにアイロンをかけているのですが、そのバックに映るブレザーのボタンは留まっています。

3時間目前の休み時間に登校した唯が、HTT3年生たちと最後の放課後を過ごし、何故かレコーディングまでしてしまうという回ですが、この日を過ごした唯が帰宅して、部室では当然レコーディングしなかった曲を自室で練習しているところに憂が入ってくると。端的にいえば、ブレザーのボタン前が留まっている、いないは、唯の気が張っているかどうかの違い(の反映)なのかもしれません。

【頬を赤らめる梓】

ロンドン到着の際、ヒースロー空港で澪のスーツケースだけがターンテーブルで流れてこないシーン。律から茶化され、ムギと唯からも半分マジな突込みをかまされ、澪がキレるシーンです。あそこの 「えっ、澪先輩ってはかないんですか?」と顔を赤らめる描写は普通に萌えます。因みに、このシーンでメールに精を出すムギは恐らく斉藤執事あたりに、「私のエクストリーム、FedExで大至急ロンドンまで送って」とお願いしているに違いありません。

【ムギビジョン久しぶりに発動】

お鮨を食せなかった「らんちゅう」前で、1期14話に登場するラブクライシスのメンバーと再会するシーン。律と澪の中学時代の同窓、マキちゃんとの再会に律は抱擁で迎えるのだが、その瞬間、紬の「ムギビジョン」が久しぶりに発動。※詳しくは原作参照
ほほを赤らめ、ウルウルするムギに普通に萌えます。

 

【ラブクライシス】

そのマキちゃんの背景として描かれる「蘭鋳」の掲示板に、「Open live」として、ラブクライシスの名前がありますね。

 

【あずCAT】

梓が例の悪夢から目覚めて、隣に目をやると、明かりをつけたまま熟睡する唯が。
枕元のノートに目をやると、そこには禁断のあの言葉が、、、という場面。
よく見ると、ノートの右ページに「あずCAT」の唯によるイラストが描かれています。

 

【梓の悪夢】

あれは悪夢だったのでしょうか? うなされる梓なのですが、反面そのようには見えないのが不思議です。「あずにゃん、わたし留年したよ!」から始まる梓の悪夢で、唯は常に気丈に振舞います。巨大化したトンちゃんをバックに「悲しくない!」と歌ったり、TV版1期12話で梓に後ろから抱きついたときと同じ、防寒バージョンステージ衣装をまとっていたりします。あのとき梓が顔を赤らめ呟いた台詞を思い出してください。
「。。。特別ですよ。。。」何だかんだで梓にとって、唯は特別な存在なんだと。

でも、唯が留年するなら、そのポジションも変わってくる。「じゃあ、わたし、唯先輩のこと、なんて呼べば。。。」梓にとって、唯が、去るのもイヤ、留年して同学年になるのもイヤ、という心理を見事に表現していると思います。このシーンのOSTも最高です。因みに夢に出てくる部室のテーブルには梓専用カップのほかに、4つのカップが描かれています。計5つですね。これが誰を指すかはご存知の通りです。

【律のたんこぶ代わりの台詞】

劇場版だからか、たんこぶ描写は自粛。梓と唯のドタバタ劇のあと、場を緊張させる内線が鳴ります。受話器を上げる律。そして毎度のボケ。いまどき刑事ドラマでもあんな受けはありませんから。。。そして澪の鉄拳制裁、となるわけだが、さすがにTV版を観ていない観客には分かりづらいと思ったのか、たんこぶ描写なし。このときの律の台詞は「舌噛まないように、気をつけていこうぜ。。。」だったと思います。

【ムギの力持ち描写】

靴擦れを起こした梓は唯のスーツケースに乗っかる形で、「あずにゃん ムービング!」と運ばれていきます。その梓のスーツケースを自分のものと一緒に運んでいるのがムギ。そして、ロンドンライブに向かう階段でキーボードを肩にかけ、自身のスーツケースを抱えて、顔が見えないムギ。笑えます。

【大英博物館にて】

「助かったねえ。」という唯の台詞で描かれるのは大英博物館と思われるシーン。女子トイレが清掃中だったので、HTT5人揃って、男子トイレで用を足しています。そして、大英博物館、といえば「ロゼッタ・ストーン」でも有名。これは説明するまででもないですね。

【律が捨てる雑誌の中に】

唯たちが校舎から講堂へ繋がる渡り廊下で、梓への「プレゼント」授与を決めるシーン。律がゴミに出す古雑誌の束を抱えているのですが、その背表紙にあるのが「きらきら」です。「きらら」でないあたりが笑えます。

【プレゼント検討会にて】

梓と、さわちゃん先生を送り出し、部室の机の上に広げられた唯のノート。そこには「梓にゃんへのプレゼント」と書かれています。笑えます。

【アビーロード】

梓は本分をまっとうしようとして、ロンドンでもガイドブック片手に大奮闘です。そしてやらかしちゃいました。各人、止まってくれた車にお辞儀をして通りを渡るんですが、あれが「アビーロード」だと、希望した澪本人も梓も気付かないんですね。

【マフィンの値段】

HTT5人がマーケットで立ち食いするマフィン。3.5ポンド・・・最近のレートだと、410円くらいです。結構高いですね。

【エリザベスに語りかける澪】

劇場版前半、3-2でのシーン。バレー部の3人がハワイへの卒業旅行を計画しているそばで、唯が尋ねるところ。背景で澪が移動しつつ、教室後ろのロッカーあたりにベースケースを立てかけ、そのあと、それに向かい顔を近づける描写がある。なんだか細かすぎ。京アニはん。「エリザベス」に対して、何かを独白していると思われる。

【デスデビルごっこの紬のキーボード】

劇場版として、あの導入の仕方は成功していると思う。そして、ハードロックの演奏に興じている唯たちだが、紬のTRITONの青い真空管に明りが灯っていない。これは京アニはんの塗り忘れではなくて、電源入れていないだけのこと。だって、「ごっこ」だから。

【修学院駅での澪と唯の位置関係】

ロンドン渡航のため、修学院駅で待ち合わせる紬を除くHTT4人。時計は朝の5時を指している。最初に律と澪がいて、澪はジュースを買いに一旦画面からはける。その直後、唯が澪がはけた方向から登場するのだが、澪と唯は鉢合わせしないのか?
恐らく、こうです。澪がジュースを買いに入ったのは24時間営業のスーパー「フレスコ」だったからです。 「フレスコ修学院店」は修学院駅のすぐ隣にあり、10歩も歩けば店内に入れます。なので、澪、唯がそれぞれに気付かずにその後のリアクションが出来たということです。

【Dog Waste Only】

分かりますか?  劇場版テーマソングに乗っけてHTT5人がロンドン観光を繰り広げる描写で、唯が郵便ポストのようなものに手を突っ込み、その動作に他の4人が(意味も分からず)突っ込んでいる描写。これはちょっと高度ネタ。まさか「ローマの休日」を気取っているわけではないと思うが、「リージェンツ・パーク」だろうと思いますが、ロンドンの慣習が分からなければ、何であの一連のアクションに繋がるの?と思うはずです。私も「Dog Waste Only」という言葉をスクリーンで認識して調べなければ分かりませんでした。犬を連れたマダムが掲げるビニール袋にはあんな意味があったんですね。それにしても驚きすぎの感はありますが。

 

【飛行機雲】

映像表現で語られる「暗喩」という奴は、観る者それぞれが「そうだ」と勝手に思索に耽れる自身の都合による産出物で、作る側は「そんなことひとつも例えていませんよ」、というケースがままあるのではないのだろうか、と最近思う。逆に言うなら、数回観ても製作側の意図を感じられない「暗喩」=メタファーというのは作品として、そもそもどうなのよ、と思うし。「けいおん!!」でいうなら2期24話の梓のおでこの絆創膏。あれは大方の視聴者が感じ取れるメタファーでした。

劇場版でもそれらしい描写はありますが、「クッション」以上のものを感じたり、考察できるかといえば、それはないのかも、というのがいまの自分。聖地巡礼すれば分かるけど、京都や滋賀は旅客機のルートなのでしょっちゅう飛行機雲は見られます。飛行機雲自体は飛行機が飛ばないと出来ないもので、かつ、状況によって発生しないケースもある。このあたりが一応の例えで、進んできた「航跡」を残せた者だけが残せる物、が飛行機雲なのかも知れません。要は、唯たちは「リア充」ってことです。

 

【唯の部屋の時計】

卒業式前夜の平沢姉妹のやりとりで、唯の部屋のベッド脇のサイドボードに目覚まし時計が無い、ということは観てれば気づきますが、それが何の例えなのかは、劇中で観るものに示さなければ(気づかせななくては)ただの演出の失敗、で片付けられる程度のことです。因みに同じサイドボード上で目覚まし時計とともに常に描かれる「ラジオ」とおぼしき箱型のアレ。あいつが終ぞ活躍しなかったのは、関係者として少し残念だったぞ。

その目覚まし時計はサイドボードの上でなく、出窓の日よけの裏に置かれていましたね。これは暗喩でもなんでもなくて、卒業式当日に確実にある時間に目を覚ますために、唯が意図的に置いたものです。本作冒頭でもサイドボード上の目覚まし時計のベルを止めて二度寝してしまう様子が描かれています。唯はいままでずっとこの行為を繰り返してきた。大事な卒業式の朝に寝坊しないように、むしろいつもより早い時間に目覚ましをセットするために、いつもの場所でなく、ちょうど反対側の、しかも上体を起こさないとベルを止められない出窓に時計を置いたのです。たまに私もやりますね。またこの行為は、前記のブレザー前のボタンが留められている、いない、ともリンクします。そして翌朝、無事起きられた唯は時計をいつもの場所に戻し、ギター練習に精を出し、その結果、待ち合わせに遅れるという2期24話のアバンへ繋がっていくのです。

 

【寝顔を撮られた者】

思いだせますか? TV版1期4話「合宿!」において寝顔を撮られたのは誰でしたか。そして、「劇場版 けいおん!」で寝顔を撮られたのは誰でしたか。前者は紬。後者は梓です。そして、その寝顔画像は現在、公開されていません!!前者なら画角的に紬オンリーかもしれません。でも、後者だと、眠る梓とそれを優しく見守る紬のツーショットになりはしないでしょうか。どちらもイベントの立役者。少しだけ因果を感じると共に、どこかで、この「寝顔」が公開される日が来るのでは、と思ったりします。

それにしても、劇場版のこのシーンの梓はとてもよく寝ています。フラッシュを焚かれたにもかかわらず、紬が撮られた後に目を覚ますのとは逆に、梓は熟睡したままです。
。。。「やり遂げた」んでしょうね。ここロンドンでは。来るべき卒業式イベントがあるにせよ、また、ロンドンでは毎晩唯絡みの悪夢にうなされながらも、ガイド役やライブも含め、「やりきった」という思いが、梓を深い眠りに導いてくれたんだろうと。
一般的に、就寝時の「夢」は眠りが浅いときに見るものなので、ここ、ヒースローに向かうTAXIの中においては梓は一時の安寧を得た、という解釈が出来るのかと思います。

 

【思いは届いたよ!】

教室ライブのシーン。アウトロのカットで「ロゼッタストーン」を3-2教室にわざわざ持ち込み観戦してくれたオカルト研のふたり。あの行為と、ふたりが掲げる人差し指、そして唯が人差し指で返す意味するところは。「劇場版 けいおん!」において、「オカルト研」のふたりは階段の踊り場で唯と会話する際、人差し指を宙に向け、「これから屋上で宇宙と会話する」とのたまいます。これ自体はちょっとアレな感じなんですが、彼女たちとHTTの間には前回の学園祭で築いた信頼がすでにあります。律ちゃんのお墓とおむすび、ってやつですね。そしてオカルト研ギャグの洗礼を浴びつつ、唯はロンドン土産(たぶんネッ○ーの写真でなく、紅茶)を彼女たちの元へも届けにいったのだろう、ということが容易に想像できます。それを受けてのライブシーンです。

アウトロで、ほんの一瞬ですが、オカルト研のふたりが人差し指を宙に向け掲げます。
。。。これは「思いは届いたよ」という「U&I」の歌詞に対するアンサーなんです。そして、唯もそれに同じポーズで応えます。「そっか、ありがとう」と。ここでいう人差し指=「宇宙との会話」は「残される者への思い」に繋がるものだという解釈でいいと思います。

 

【姫子と和の会話】

2期後期OP「Utauyo!!MIRACLE」演奏シーンの補完ともとれるシーン。劇中歌じゃないから、唯がギー太を抱いていない、ということにはならないと思うけど。何であそこはギー太を持ってないのか。加えて、このシーンを(動画で)撮影しているのは和だということが判明したわけだが、劇中の和と姫子の会話の台詞が、5回観てもまだ分からないのだ。聴き取れないのだ。加えて、劇場版がロンドン凱旋ライブ、ということで、黒板には修辞が並べられているのですが、2期後期のそれでは当然書き込みは無いわけで。それは仕方ない。姫子と和の会話は後日やっと聴き取れた。
姫子:「あとで1枚ちょうだいね」
    和:「OK」でした。

因みに和が撮影していたコンデジが律のものだとしたら、モデルとなったモデル(ややこしい)はSONYのDSC-T700。VGA(640×480)サイズの動画も撮影できます。最近のモデルのようにHDサイズでは撮れないので、地デジのオンエアにはそもそも無理が。。。それは置いといて。

 

【唯の息】

が白く描写されるのはロンドンのスーパーマーケットで買い物をしたあと、川上さんに律がメールするシーンだけなんです。というか、息が白くエフェクトされているのは全編通じてここだけ。ライブを躊躇する梓に向かい、 「大丈夫!あずにゃん。お寿司屋さんのときのようにはならないよ!」「ほら、早くあずにゃんも!」この2箇所だけです。本来なら、ヒースローの出口から出てきたところ、ロンドンの寒さを体感するところで描かれても不思議ではないし、むしろそれ以前の序盤の登校シーン等で描かれないのが不自然。何か意図があるのかもしれませんが、現在のところ、私には分かりません。

 

【スプーン一杯のエロは健在】

TV版をご覧の皆様はお気づきの通り、何だかんだで、「けいおん!」はエロを連想させる描写がそこかしこにあった作品として、私個人は認識しています。むしろ異論は認めない!劇場版でいうなら、唯と憂のリビングでの会話で、唯がソファに両脚を乗っけて立て膝するところとか、ロンドンのホテルの部屋で、揺れる紬が律の写真を撮る件とか、アバンで梓が部室の長椅子の脇に置いた「ムッタン」のジッパーを下ろすカットでのスカートの翻りとか、教室ライブをさわ子先生に頼みに行くHTT3年生4人が階段を駆け下りるシーンの絶対領域感とか、なんですが、もうこのあたりは京アニはんに拍手するしかないんですけどね。

 

【澪が逃げ出すミュージカル、ではなかった】

なんで澪は怖がって逃げているのだろうと思いました。最初はその背景ばかりに目がいって、「TOMUS」と書かれているミュージカルか何かの看板が怖くてその前を走って逃げているのだとばかり思っていました。何度か見返して、やっと気付きました。追ってくる人がいたから逃げたんですね。気付きましたか?

 

【Shard London Bridge】

劇場版のロンドンでインサートされる建設中のビルは「Shard London Bridge」らしいです。2012年中に竣工、310メートル。日本一高いビル建築、横浜のランドマークタワーの296メートルより、少し高い。

 

【「この話をしているときっていつも・・・」という紬の問いかけ。】

いつも何?卒業式後に部室で梓を待つ3年生。シナリオを組んでいるんですが、そのとき、紬が吐露する台詞がこれ。いつも何なのだろう。これを書いている1月4日段階でも良く分からないのですが、 「いつも同じティーセット」ってことなんですかね。

 

【首を傾ける紬】

ロンドン行きが決まって、HTT5人で旅行会社へツアーを申し込むシーン。「今日は旅行のご相談ですか?」と笑顔で右に首を傾けるカウンター嬢。この営業スマイル、懐かしいですね。そう、紬がTV版1期でアルバイトをしたときと同じ営業スマイルです。劇場版ではこのカウンター嬢の営業スマイルのカットがあって、次はHTT5人のカットです。
このカットでの注目は紬。紬だけカウンター嬢と同じく、首を右に傾けているのが分かるでしょう。過去の経験で反射的に首を傾けてしまった、という感じなのでしょうか。

 

【紬のキーボードの件】

後出しじゃんけん。ごめんなさい。でも言っておきたくて。寿司屋のキーボードと、EDのとある施設の制服に身を包んだHTTの疑似演奏シーンで同じく紬が操るキーボードが同一モデルであろう件。ここで色は関係ないです。あるのは「受け」と「攻め」。「キネ旬」の山田監督インタビューを参照すれば、あの方が、映画「エコール」に影響を受けていたことがわかるし、そこに敢えて言及している、ということは、劇場版のEDはあの作品から引っ張ってきたことは容易に想像できます。

映画「エコール」で描かれた一見美しい少女たちの花園が、実はどんな構造上に置かれていたものなのか。そこでの彼女たちの置かれている立場はどのようなものなのか。まさに「受け」そのものでしかない。対比となるのは「おとな」。衝撃的な映画のラスト描写を見れば、「解放」された主人公たちのとる行動がいかに奇異なものに映るか、空寒い思いを抱くと思います。

方や、英国に実在する断崖を想定した「映画 けいおん!」EDのシーンでは「攻め」のHTTを見ることができる。紬のビキニにドキドキしながらも、そこで描かれる通常モードのキーボードを見るにつけ、ここで描かれるのは「攻め」のHTTなのです。行動の自主性という意味では、2度目のロンドンライブ、紬が「トライトン」を手に入れたまさにそこである。お互いを固い絆で縛り付け、一見、団結しているように見えるようで、実はとても脆い関係性がEDの「制服」カットで演出され、様々、自由な格好で描かれる断崖の演奏シーンでは彼女たちは決して手は繋がない。走りはするけど。むしろ、私が注視したいのは劇場版EDのふたつの設定において、いずれの彼女たちにも「笑顔」がないことだ。この点に関しては、全てではないがTV版のEDでも一部あてはまる。

話は少しずれるが、映画「宇宙人ポール」を観た友人と話したとき(彼は「けいおん!」シリーズも一通り観てはいる)、「ポール」は一連のスピルバーグ作品を観ていないと楽しめない、と評した私にこう言った。「映画 けいおん!」だって同じじゃんと。少し違和感を感じたが、それはこういうこと。「映画 けいおん!」は「けいおん!」シリーズを観ていればある程度「通ぶれる」んです。でも「ポール」はそうはいかない。。。そういうことなんです。

ある作品を観るにあたって、監督が影響を受けたであろう作品の予習もときには必要なんだ、ということです。でないと、到底「ポール」は楽しめない。「映画 けいおん!」を観るにしても、その程度の予習はしましょうね、という、ごく当たり前の結論に辿り着くわけです。京アニはん絡みで言うなら、実は1期14話「ライブハウス」のある描写は「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 」を観ておいたほうがいいとかね。

。。。以上、雑感です。お付き合いいただき、ありがとうございました。


©かきふらい・芳文社/桜高軽音部


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