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ネタバレの可能性。米澤穂信「遠まわりする雛」原作のえるの台詞の解。


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ネタバレの可能性。米澤穂信遠まわりする雛」原作のえるの台詞の解。

。。。んなこと、とっくに読解してんだよ! 的な突込みは多数あるかと存じますが、わたくし的に気づいたものですから書いておきます。
原作未読の方、アニメのオンエアまで期待をとっておきたい方はこの先見ない方がいいです。

原作「遠まわりする雛」の表題作で、「千反田える」が「折木奉太郎」に自身の今後の生き方を吐露するシーンです。一見爽やかでいて、しかもうるっとする展開で、「える」の大ラスの台詞に感銘を受けた方も多いのではないでしょうか。

日中行われたイベントで、「奉太郎」は「える」の姿を傍らで見て、ようやく自身の感情に気づいてしまいます。これは「える」に頼まれた行為を引き受けてしまった結果、わき起こった感情なのですが、そのイベント終了後の「える」の台詞が大ラスのあれ。

最初読んだとき、私は完全に「奉太郎」は「える」に絡め取られ、しかも「える」は「奉太郎」の気持ちに気づいていたのであんな台詞を吐いたのだろうと感じました。
天然型恋愛巧者、千反田える。恐るべしと。

でもあとで読み返したら、そうではなかったんですね。
というよりか、米澤はんはそう読者が誤解するように、あえて二重に意味が取れる台詞にしたと。

単純にあれは「奉太郎」と「える」の意思がまだ完全に通ってはいない、ということを表していたのですね。

4月初旬とはいえ、神山市は日が暮れると急速に冷え込んでくる。「奉太郎」はフィジカルな面であの台詞を言ったのです。

そしてそれに対する「える」の大ラスのそれ。これは「奉太郎」の台詞の応えになっていません。「える」はイベントが象徴する季節的な移ろいを指してああ応えます。
「いいえ、もう春です」と。

恋愛巧者でもなんでもなく、「える」は単に天然だっただけなんです。日が暮れたから「冷えてきた」のに、その体感的な「奉太郎」の心情を汲めずに、季節の移ろいを持ち出し、あんなふうに応えてしまったわけです。

まだまだカップル成立には程遠い二人ですが、一足早く「える」への感情に気づいてしまった「奉太郎」。はたして「える」の「奉太郎」に対する感情の変化は今後描かれるのでしょうか。


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