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映画「パッセンジャー(原題:PASSENGERS)」を観た。


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映画「パッセンジャー(原題:PASSENGERS)」を観た。

ここから書くことは相当のネタバレを含むので、これから観る方はこのエントリは見ない方がよいです。



劇場予告編で〈久々のSF大作〉っぽい匂いを感じて観賞してみた。往々に暇つぶしの感もあったのだが。
そして、本編観賞、帰宅後、改めてWEBで予告編を見てみると、、、
よく出来た予告編だこと!
本編で明かされる事実が、上手いこと隠されており、むしろ、この予告編にこそ拍手を送りたい。
公式サイトや、この予告編で述べられている通り、人類移住プロジェクトで120年かかる航海の最中、その旅客宇宙船で出発から30年が経ったという設定である。

技術者の〈ジム〉は、なんらかのトラブルで、冬眠装置が解除され、120年の眠りの途中、あと90年を残した時点で目覚めてしまう。
混乱する〈ジム〉は同時に目覚めた者を探すが、250人のクルーと5,000人の乗客、誰一人、覚醒した形跡はない。絶望に打ちひしがれる彼は想う。
誰ともコミュニケーションをとることもなく、ひとり年老いて朽ちていく。そう、目的地に着いたとき、冬眠から目覚めた者が見るのはミイラとなった〈ジム〉なのだ。

技術者ゆえ、彼なりの方法で、問題解決の糸口を探す〈ジム〉。それは、もう一度冬眠装置に横たわり、冬眠を再開できないかとか、乗務員が冬眠しているゾーンへ侵入し、彼らを叩き起こせないか、とかなのだが、上手くはいかない。
そんな中、船内のバーラウンジに人影を見つけた彼はその人影(=バーテンダー)へ駆け寄るも、それはカウンター内でのみ機能する、人型バーテン・アンドロイドだったのだ。

知能のある話し相手を得た〈ジム〉であったが、人肌の温もりを想う欲求は拭うことが出来ず、そうして覚醒から一年が経過し、ついに孤独に対する絶望から〈ジム〉は、問題終結の最後の手段【その1】を試みるのだが。。。

といった具合に、冒頭からしばらくは、クリス・プラット演じる〈ジム〉の孤独を淡々と見せる。人型バーテンダー〈アーサー〉とのやり取りと、バーラウンジの造作は、言うまでもなくキューブリックの名作ホラーへのオマージュである。彼作の主人公である作家が、孤独に作業を行った結果、どうなったか、という展開への韻を踏んでいて、このキャラクター配置は本作でも様々なキーを握る場面として楽しめると思う。

しかし、ここからの展開が本作の評価を二分する要素となるのだが、エンディングに向かうにつれ、これは仕方がないな、と感じさせてしまう、問題終結の最後の手段【その2】のも本作の魅力。
公式サイトでは、「冬眠装置で眠る乗客の中で、なぜか2人の男女だけが、目覚めてしまった。
90年も早く。」とあるのだが、本編を観ると、決してそうではない、という事実が明らかになる。それは、〈ジム〉がイケメンだからそうなった、ともいえるし、ヒロインのジェニファー・ローレンス演じる〈オーロラ〉が、職業込みで逆の立場だったらどういった行動に出るのか? といった妄想も膨らみ楽しい。

その後、〈ジム〉と〈オーロラ〉が困難にどう対処するのか、という辺りは劇場で体感していただきたいが、科学的考証はほぼ無視しているっぽいので、そこは突っ込み無用で。

他所でも書かれているとは思うが、本作の主題は〈恋愛〉です。
それは主人公二人のそれに加え、バーテンの〈アーサー〉も絡んでくるから興味深いです。
はたして【アンドロイドは電気羊の夢を見るのか】的なオマージュもぶっ込んでくる辺り、おじさん向けな作品なのかも知れません。

エンディングのカットは荒唐無稽的な絵面なので、さすがに引きますが、それ込みで〈ジム〉と〈オーロラ〉がチョイスした選択肢として、僅かではありますが泣けます。

しかしながら、エンドロールで前席の馬鹿がスマホを明々と作動させ始めたため、コイツの座席を蹴っ飛ばして消灯させてから退場してしまったため、オーラスに何かしらの〈さげ〉があったのかは不明です。
バーテンの〈アーサー〉がニヒルかましてくれてるんならもったいないけど、確認のしようがないと。

思えば、初代「エイリアン」で冬眠装置というモノに触れてからうん十年。
その頃から、冬眠装置は物語の演出上、顔もボディも確認できる透明なカヴァーで覆われており、って感じでしたもんね。そりゃ容姿プラス、プロフィールまでダダ漏れなら、そうもなるわな。
その装置をイリーガルに差配する輩が出てくる、案外盲点な本作でした。

実は、公式サイトには紹介されていない、主人公二人以外に、冬眠から覚醒するキャラがもう一人いるんだけど、それも本編で観てみてください。そして、本当に、航海中登場する〈血の通った〉キャラはこの3人だけ。ラストににアンディ・ガルシアほかが出てくるけどね。

賞は取れなかったけど、アカデミー美術賞ノミネートだけのことはある。背景は魅力的。
宇宙旅客船なのにこんなスイートないでしょ、的なホテル評論要素観点でも楽しめる。

でも、〈Rotten〉で評価が低いのも解る。

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