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映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観た。


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映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』を観た。

今日観てきた。平日17時の回に観れたことはラッキーだった。
にしても、542席もある箱で、観客は50もいなかったな。夏休みなのに、これはこの週末から規模縮小かな。

シャフト、というアニメーションスタジオは、menehuneとは縁がない。
wikiで調べたけど、多くのタイトルを手がけてはいるが、ここ10年だけを見ても、『魔法少女まどか☆マギカ』しか見ていない。よって、新房 昭之(しんぼう あきゆき)はんの作品とも全く縁遠いのだ。
もっとも、本作に於いては、総監督、という名義貸し程度のものという理解をしていますが。

キャラデザの渡辺明夫はんが関わったタイトルもほぼ未見。

音楽は神前 暁はん、という超有名な方だけあって、これは聴いていて心地良かったです。

さらに音響監督として、京アニはん起用の常連、鶴岡陽太はんが務めているが、これはmenehuneの知見が足りないだけで、シャフトはんはじめ多くの作品に携わっている。

声優陣も実は豪華。主役こそ、広瀬すず、声優初挑戦となる菅田将暉(すだ まさき)という俳優組みだし、〈なずな〉の母親役には松 たか子があてがわれているが、それ以外はほぼ、実力派声優で固められている。

さあ、アウトラインの説明が長くなったが、内容に触れたくないわけではない。

本作、Pが同じということもあり、どうしても昨年の東宝はんヒット作『君の名は。』と比較されるのは仕方ないにしても、これはさすがにハードルが高すぎましたね。

作品単体として、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』がつまらないか? と訊かれれば、menehuneは、そんなこともないですよ、と応える。

ただ、それなりの条件付きである。

ある程度物好きな方なら、TVで今から24年前の1993年に放映された監督、原作、脚本を岩井俊二はんが手がけた実写ドラマ版を見返したりもしているだろう。

そうなのである。アニメ版の『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は、このドラマ版の呪縛に縛られすぎたため、全く持って面白味の無い作品となってしまった非常に残念な作品である。

君の名は。』で一躍、名プロデューサーに伸し上がったかに見えた川村元気はんだったけど、あのドラマを原作とするなら、「ほぼ」原作どおりになぞってしまった点こそが、本作プロデュースの失敗の根っこのところだろう。いいスタッフといいキャストを集めても、これじゃダメダわな。

ドラマ版では、 〈なずな〉や〈典道〉たちは小学校6年生の設定だが、アニメ版では中学1年生に設定が変わっている。
この点に関しては、予告編やTVスポットを観た職場のお母さんアルバイトなどは、「高校生かと思った」とおっしゃっていた。事程左様に、『君の名は。』の影響がここにも現れているのだと思う。

京アニキャラをこれでもかと見続けてきたmenehuneにとって、〈なずな〉の等身の描かれ方は最早奇形に属するくらいだし、そのくせ、主人公、特に男子の台詞や演出方針がドラマ版をなぞっているため、とてもガキに見えてしまうのだ。

公式サイトを確認すれば、彼らが中1であることは確認できる。でも、本作のキャラ造形と、その彼らが発する言葉、行動が原作どおりだとするなら、そりゃ萎えるわな。要は、この誤解を解く作業をしていない。

そして、『君の名は。』では演出上のキーともなった「携帯電話」が、本作ではただの一度も登場しない。
それはなぜかというと、ドラマ版で登場しなかったから。

からして、こんなJSいないだろう、と当時から言われた奥菜 恵はん演じる〈なずな〉と〈典道〉の身長格差がアニメ版でも踏襲されていたり、※2017年の今では実は普通にいるので困るが。

そのくせ、アニメ版ではドラマ版では描かれない、メルツェデスのほぼ最新モデルが登場するとか、統一感もないんである。
菅田将暉はんの演技が棒、という指摘もあるだろうが、これはドラマ版の彼もその通りなので、これってトレースと言えない訳じゃない。
奥菜 恵はん演じる〈なずな〉のドラマ版キャラデザと、声の演出も、広瀬すずはんは背負うことなり、子供なんだか大人なんだか、表現しづらい側面はあったんだと思う。
実際、女子が男子より早熟傾向にある点は考慮するにしてもだ。

TVドラマ版は50分程度の尺に対して、アニメ版は90分ほどの尺があるので、ドラマ版よりも「盛ってる」演出があります。ただし、いかにも子供っぽい味付けでつまらないです。

つまりは、観客が戸惑ってしまうのだ。まず、時代背景がわからない。
一見現代の様で、実は昭和の世界観で描かれているためである。
なにが観月ありさだよ。※原作ママ
そのくせ、現代の再生エネルギーの象徴でもある大規模風力発電装置があったりとか。

正直な感想として、24年前のTVドラマがそれほど優れた作品かといえば、そんなことは無い(サウンドトラックに助けられてはいる)のであり、同作の尻切れトンボ同様、本作も尻切れトンボで煙に巻かれた状態で、観客は劇場を後にする、といった具合なのである。

余談だが、意外と重要な点について書いておくと、『君の名は。』の何が良かったって、三葉(中身は入れ替わっているケースもあるけど)の「パンチラ」を東宝はんの夏休み作品として、躊躇無く晒した点があるとmenehuneは確信しているのだけれど、本作にはこれがないんだな。
すべて寸止め。もちろん、原作ドラマにそんなシーンは無い訳で、本作だとそれをやったところで、JCのそれになっちゃうんで、こんなところまで、元ネタを踏襲する必要があるのかね、と思ってしまう駄目なヲタが居るわけですよ、ここに。
にしても、深夜アニメは置いといて、劇場公開作品におけるこの辺りのレイティングは、この先重要になる課題ではあると思う。

2017年版、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』がつまらないか? と訊かれれば、menehuneは、そんなこともないですよ、と応える。

では、それはどこなのか。

広瀬すずはん演じる、〈なずな〉がある歌を歌うのだが、その一点については、この作品の美点である。
アニメ版オリジナル演出のこのシークエンスは、その後のシーンの映像処理が余りに稚拙なのと、同じ曲をもう一度回想してしまうという駄目演出を差し置いても、本作における数少ない屈指の名場面である。

であるから、脚本に大根 仁はんを起用しても、オリジナル要素を盛り込めるわけでもなく、監督の武内宣之はんも動き辛かったんじゃないか。

つまり、アニオリで挑戦しなかった東宝はんに大方の責があると。

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