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映画『三度目の殺人』を観た。


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映画『三度目の殺人』を観た。


是枝裕和監督と福山雅治はんが『そして父になる』(2013年)以来、再びタッグを組む本作。『海街diary』(2015年)に続き、 広瀬すずはんがキャスティングされている。
是枝はんの監督作品は結構観ているほうだな。
映画『君の名は。』を良く言わなかったことで話題にもなった同氏の最新作である。
この監督の最大の特徴として、脚本・監督・編集を一人でこなす、という点が挙げられると思うが、君の名は。』は、当たる要素がてんこ盛りなので、ちょっとてんこ盛り過ぎだろう、と仰り、その要素として、女子高生とタイムスリップを挙げている。
そのキャリアから察するに、この方は当てる要素はご存知なのだと思うけど、それを自分の作品には当てはめたくないんだろうな、と感じる。
「だったら自分の監督作で『君の名は。』を超える作品、創ってみろよ」という低いレベルの茶々には耳を貸さないだろう。

本作、『三度目の殺人』にしても、そのオリジナリティが勝負の別れどころになる。
是枝監督作に出演する役者に関しては、もうその演技の出来を心配する必要がないほど、円熟したそれを見せてくれる。若手の広瀬はんにしても、『海街diary』以上の魅力を発揮していると思うし、留置場の接見室における対面窓のガラス越しの見せかた、特に役所はんと福山はんの顔をうまく反射させることよる演出効果はすばらしいと思いました。
となると、この監督作品の良し悪しを決定するのはテーマ(題材)と脚本、ということになります。

前作『海よりもまだ深く』(2016年・雑感はこちら)と、本作『三度目の殺人』(2017年)に、menehuneは乗れなかった。あちらがスランプ、というより、単に作品のテーマに共感できない、ということなんだろうとは思うが、次もそう思うようなら、諦めるしかないかも。

珍しく旨そうな食い物が登場しない(焼肉はその役目を果たしていない)のも、是枝作品には珍しいかもしれない。
もっとも、登場人物たちの幸せの象徴として旨そうな食べ物は描かれるわけで、それがフード理論だとすれば、出てこないのは監督の意図するところか。弁護側の人間が幸せか、というとそうでもないし、だとすると、ピーナッツバターを塗ったコッペパンを頬張る役所はんのシーンは悲しいものがありますね。あんた、それで幸せなのかい。

本作を観ていると、登場人物が誰一人まともじゃないヒトに見えてくる。そして誰も信じられなくなる。映画館に足を運んでいる時点で、まともじゃないヒトもそうはいないだろうけど、本作のような状況を楽しめる余裕がある観客もなかなかいないんじゃないだろうか。誰かが成長したり、救われたりするお話じゃないのもキツイ。

少しはリラックスできる是枝作を次回期待したい。

余談だが、本作はたまたまTOHOシネマズ上大岡で観賞したのだが、施設が比較的新しいため、場内トイレの〈入口ドア〉はなく、便座はすべて〈温水洗浄便座〉だった。
2000年代初めに開業したTOHOシネマズ川崎のそれは、いまだに入口ドアがあり、温水洗浄便座が備わっていない。備えた上で使わない、という選択肢があるのと、選択できないの違い。
トイレそのものの入口は衛生的観点から設けないのが近年の大規模施設の設計ルールとなっている。今すぐ改修着手をお勧めしておく。

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