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映画『スペシャルアクターズ』を観た


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映画『スペシャルアクターズ』画像

(C) 松竹ブロードキャスティング


言わずと知れた前作『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の最新作『スペシャルアクターズ』は、10月18日に公開されたが、全くといっていいほど客が入っていない印象。menehuneにとって、初回上映が朝の9時とかいう劇場が多いのも足が遠のく一因だ。それでも今日21日、午後2時の回を観ることができたので、ざっと印象を書いておきます。

前作は単館上映から口コミで笑いと称賛の輪が広がり、日本アカデミー賞候補まで上り詰めた傑作でした。その好評を経て、最新作に期待された方も多いのでは、と思っていたのですが、蓋を開けたら現状空気状態です。なぜでしょう。

 

極度の緊張状態、特に男性から問い詰められると、気絶してしまうという心の病を持つ、売れない役者の主人公が、実の弟に誘われ、俳優事務所「スペシャルアクターズ」の一癖も二癖もある役者たちと一緒に、宇宙神と交信できる教祖を仰ぐカルト集団と対峙して、悪事を未然に防ぐため奮闘する、というストーリーです。しかし主人公は、役者としては致命的な、緊張すると気絶してしまうトラウマを抱える。果たして、重責を全うできるのか?

まず、本作『スペシャルアクターズ』は、前作『カメ止め』同様、キャストをオーディション形式で全国の無名役者と素人さんから起用。主役の俳優さんでさえ、10年で3本しか出演経歴がないそうです。
ただ、前作が元々あった脚本にキャストをあてがったのに対し、本作は松竹が主催するワークショップで発掘したキャストに脚本を当て書きするという若干異なったアプローチとなっているのですが、前提として、本作で起用された無名の役者陣、全般影が薄いです。前作の様な良いも悪いも、特徴のあったキャラクターたちとどうしても比べてしまうのだけれど、ここは弱い部分だったのかな、という気がします。ちゃんとした、と言ったら失礼だが、普通の俳優を敢えて使わない以上、観るものに刺さる何かを表現できないとやはり弱いです。要所で笑えたり、いい意味で呆れたりできるシーンはあるけれど、絶対数は前作よりかなり少なめと言わざるを得ません。

物語の展開についても、入れ子構造ではないのだけれど、物語の「落ち」はそれに近いものがあります。その構造(落ち)に、実は中盤過ぎくらいから気づいてしまうという、ちょっと悲しい感じがあります。『カメラを止めるな!』で「やられた!」と素直に納得したカタルシスは、人によっては味わえないといっていいでしょう。これも前作同様、ドタバタコメディの合間にヒューマンドラマを挟み込んでくるのですが、役者の芝居込みで、あまりmenehuneは感動できませんでした。

それから、これは言ってもしようがないんでしょうけれど、物語の舞台が「カルト教団」という非常に社会的に微妙なポジションを選んじゃったなという点があります。ネット界隈ならともかく、大手マスコミ、特にテレビは取り上げづらい題材じゃないのかなと勘ぐってしまいます。事前にどれだけの宣伝がなされたのは存じませんが、上田監督自ら宣伝プロデューサーを名乗った割にはこの状況です。
カルトを置いておくとしても、台風続きで、パブリシティの時間が各局割けない事情もあるでしょう。
とはいえ、最後まで観れば、このカルト集団のポジション自体がある種の伏線として機能していることも、主人公が幼少のころから大好きで、売れない役者である自身を奮い立たせるためにいま現在も繰り返し鑑賞している、海外モノのヒーローアクション『レスキューマン』(架空の劇中劇)は、主人公兄弟の関係性を含め、ネタバレにも絡んでくる重要な要素として機能しています。

音楽については前作同様、カット編集に合わせ緩急をつけた演出がなされていて好感が持てます。ネガティブなことも書きましたが、終盤の大立ち回りはやはり見ていて気持ちがいいです。

ただ、あまりやっちゃ駄目だろうとmenehuneが常々感じている、あるネタ明しの手法が最後の最後で採用されていて、若干興ざめしちゃいます。これから鑑賞される方は劇場の中央から前寄りの座席で鑑賞されることをお勧めします。

(C) 松竹ブロードキャスティング




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