若干のネタバレあります。
今日観てきました。
オープニングから中盤まではかなりダレます。いままで繰り広げられてきた『ターミネーター』シリーズにおけるチェイスシーンの繰り返しだからです。
話の筋もです。
リンダ・ハミルトンが久しぶりに演じる〈サラ・コナー〉がミスリードを狙ったある台詞を吐きます。よって、観ている方はネタ明かしがされたのち、当然の如くある事実に気づきます。
この物語には〈カイル・リース〉役が登場しないのです。これでお分かりですね。
何故、本作で〈ダニー・ラモス〉という女性が、ターミネーター〈REV−9〉から狙われることになるのか?
この展開も今日の社会状況が反映されています。そう、〈レイア・オーガナ〉よろしく、反乱軍のリーダーが常に男性である必要はないのです。
先にダレた、と書きましたが、それでも、シュワルツェネッガーが登場する中盤以降はそれなりに見せてくれます。荒唐無稽なのは置いておきましょう。いま、この雑感を書くために、観賞後のスタバで公式サイトを拝見しましたが、ここでも盛大なミスリードが展開されていますね。ヒントはキャスト欄のシュワちゃんの紹介ページの写真です。
今回観ていて、おやっと思ったのは、ガブリエル・ルナはん演じる悪役ターミネーター〈REV−9〉の発する台詞の端端に「知性」が感じられる点でしょうか。
目的の遂行を邪魔する者以外、必要以上にヒトをあやめないし、ある理由で民家を全壊させたときなど、住人に「壊してごめんね」と謝罪の言葉まで述べるのです。さらに物語終盤では旧式のT−800に向かって「同じマシンじゃないか。味方になれよ」的な説得行為までして見せるのです。往時のT−800やT1000が感情を持たない殺人マシーンに過ぎなかったのに対し、格段の進化を遂げていると言っていいでしょう。
では、それが何かを示唆したり暗示しているのか? と問われると弱いですが。
物語終盤の〈サラ・コナー〉と「名前を持つ」T−800との関係性が切ないですね。そして〈ジョン・コナー〉の存在が生きてくるこのあたりの設定はうまいと思います。
そして、「名前を持つ」T−800のけじめのつけ方も。
しかしいかんせん、所詮は旧作の焼き直しに異なるスパイスを振りかけただけ、というか、それをやめたら違う映画になっちゃうので、往年のファンもいい加減飽き飽きしちゃうのもわからなくもない。米国で芳しくない興行成績だそうですが、もう若い世代に受けないのはわかります。
ラスト、そういうことなら、現代へ遣わされた〈グレース〉がちっとも〈サラ・コナー〉のことを知らないというのも「?」と感じないわけでもありませんでしたが。
過去のシリーズ、やはり『2』で涙した往年のファンなら、観て損はないでしょう。