宿泊日 | 2019年12月 |
ホテル名称 | オリエンタルホテル京都六条 |
開業 | 2019年11月 |
URL | |
住所 | 京都市下京区油小路通六条上るト味金仏町181 |
電話番号 | 075-343-8111 |
部屋番号 | 323 |
客室グレード | スーペリアキング |
客室面積 | 18.6平米 |
Pの字レイアウト | △ |
ベッドサイズ | 180×195 |
客室スリッパ |
△使い捨てタイプ |
2019年11月1日にオープンしたての「オリエンタルホテル京都六条」に泊まってみました。180センチ幅のキングサイズベッドで、朝食付き。これで1.4万円台なら、紅葉のこの時期、許せる範囲ですが、客室面積が19平米に満たないという点は、最初から気にはなっていました。
ユニバーサルルームがあるから、バリアフリー化はされているんだろうけれど、ホテルエントランスは下り階段なので、車いす用のELV入口が別途用意されている模様。
ラウンジ、レストラン、ショップとフロントが機能的にレイアウトされているロビー周りのデザインは照明プランもあいまって魅力的です。
商業施設を多く手掛けたデザイナーが携わっているんだろうと想像しました。しかしホテル客室の経験はないのでしょうか。どうもこのホテルの部屋は、ホテルのなんたるかを知らない人間が設計したのでは? と思わざるを得ない印象を多く持ちました。とてももったいないです。法規上の制限があるのかもしれませんが、あの中庭を潰せば、もっと客室面積を余裕を持って設計できたのにと素人は思います。ここで事業者側の理屈は通用しないことをもう一度考えていただきたい。
外廊下の照明は寒色系に寄せていて、オフィスビルのようですが、これはこれで好印象なのですが。
残念ながら予感は的中しました。ベッドの大きさの割に狭い客室。客室入口からベッドが見切れていますね。これではPの字レイアウトのメリットが生かされていません。バッグを部屋まで運んでおいてくれたのはいいのですが、部屋にはバゲッジラックがありません。
入ってすぐ右の凹みがクローゼットかと思いきや、中途半端な棚構造になっています。画像には映っていませんが、なんと、最下段に冷蔵庫が置かれています。2段目がむき出しの金庫。よって最上部が中途半端なハイトになっています。ハンガーパイプもありません。寝巻と使い捨てスリッパ、靴へらが置いてあるだけです。なんてもったいない設計でしょう。
いくつか気づいた点を挙げると、
1)使い捨てスリッパなのはいいのだが、素材をケチりすぎ。甲の生地が薄すぎて足入れがうまくできない。
2)バッグなどの荷物を置く折りたたみ式の「バゲッジラック」もしくは荷物台がない。装備されていても公式サイトの「客室装備」では省かれていることも多い、あれがあると無いとでは、荷物仕分けの手間がだいぶ変わってくる。
3)入り口からベッドが見えてしまう。これではPの字レイアウト評価で丸は付きません。プライバシーの管理が不十分です。ベッドの向きを右奥枕にはできなかったのでしょうか。
4)ベッドが広いだけ? 狭すぎるユニットバス。全く解せません。これはスーペリアルキングの部屋なのです。浴槽だってキングサイズでいいのに、外寸120×72センチ、有効尺100×58センチ。なんて狭い浴槽なんでしょう。もちろん洗い場などは望むべくもありません。このクラスならトイレと別室は標準になりつつあります。アメニティもビジホ以上ものはありません。
タオル類も生地が薄めで、安っぽい感じが漂います。
ユニットバス内の換気扇の強弱切り替えができる点は他では見ない美点ですね。
5)前述のとおり、入り口わきのクローゼットスペースが中途半端にデッドスペースとなっているため、だからって、姿見の鏡の前に衣紋掛けってどうなんでしょう。ちょっと、設計思想が理解できません。入口右側のスペースをどう使って欲しいのか、という提案もありません。ここにパジャマを置くならベッドの上に放っておいて、クローゼットにすればよかったんです。でもここにはなぜか冷蔵庫があるんです。客室面積の割にベッドを占める面積が大きすぎるため、こんなところにしわ寄せが来ています。
6)何が面倒って、ベッドが窓と垂直に、かつ密接してレイアウトされているため、非常にカーテンの開け閉めが面倒です。これもベッドの向きを変えれば解決しそうです。しかも見えるのは、気を遣ったように見えて、もったいない中庭と向かいの客室。わずかでも窓が開くのは美点ですが、こんな設計者を起用したことを、事業者は深く反省すべきでしょう。
7)この狭さゆえ、当然、ライティングデスク/チェアはありません。置けるわけがありません。ないならないで、客室の見取り図を公式サイトに載せてくれれば、その時点で選択の対象から外すので、客も事業者も嫌な思いをしなくても済むわけです。意外と見過ごされがちな点が、このライティングデスクは物置の機能を包含しているという点です。什器や冷蔵庫もです。menehuneで言うなら、身の回りの小物やカメラを置いておくことができますし、バッテリーの充電もデスク上で行えます。もちろんネット閲覧や物書きも。
これらがベッド脇のコンソールで代用されると、充電しかできません。
とにかくベッドと客室面積のバランスが良くないせいで、こんなところにも皺寄せが。
ティッシュボックスがこんなところに収納されています。本来この手のキャビネットの最下段に冷蔵庫が収まるはずなのに、ドライヤーと充電ケーブが。茶器の棚もスライドレール式ではないため、少し不安ですね。
このキャビネットの天板をテーブルとして利用するしかありません。床に置かれたキャリーバッグが悲しいです。
商業系のデザイナーが宿泊系にトライして大いに滑ったという印象。でなければ、こんな設計はしないでしょう。そしてこの設計を許した施主がいるのです。
8)朝食のブッフェは食券ではなく、部屋番号と名前を申請すればOK。セキュリティがしっかりしているから可能。
和食中心のメニューで洋食の肉類はソーセージだけ。焼き魚もよくある鮭や鯖ではなくシシャモです。南禅寺の服部の豆腐を使った湯豆腐や豊富な漬物類は好印象。
ご飯は炊き方の問題なのか、ねっとりしているが悪くない。味噌汁は甘い味噌で最初は戸惑うがこれも悪くない。
制作会社が朝食のブツ撮りなどをしていたので、本当にこれからなんでしょうね、このホテル。「お客様の声」や便箋、「利用者向けのしおり」などの備品も確認できませんでした。これって大丈夫なのかしら。
せっかく新しいホテルなのに、バランスが取れていないです。今更部屋の広さを変更するわけにもいかないでしょうから、大胆な経営判断が必要かもしれません。