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ミノルタのオールドレンズ〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉を入手。レストアから試写までをご紹介。


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ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉

オークションで〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉を手に入れました。落札価格は26,500円、送料無料でした。最初からオーバーホールすることを前提で落札しました。それではレストアから試写の作例まで、ご紹介していきましょう。

出品者の商品説明では「レンズはクリアーできれいな状態ですが、よく見ると内部のレンズ周辺部に1箇所カビが確認できる」旨説明がありました。商品画像にも大きなカビの画像が含まれています。「ピント・絞り共、リングの動きはスムーズです」ですが、「現状販売品」ともあります。そのせいか、入札者の食指は鈍く、しかしながら画像で見る限り、外観は擦れや汚れも少ないと思ったので、落札しました。このレンズの純正フードを探すのは大変なので、最初から汎用品を使うつもりです(のちに出物を見つけて純正フード〈D55NC〉を結局購入しましたが)。純正前蓋、後蓋だけがついて、上記の価格です。

        

 

1)〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉が到着して、素人なりの検品を行いました。

〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉出品者から匿名配送で品物が届きました。さっそくレンズを検品します。とはいえ、返品不可な条件ですので、瑕疵があっても悪い評価をつけるくらいしかできないのですが。確かに何枚か中のレンズ端に大きなカビが見受けられます。また実際に触ると商品説明とは裏腹に、ピントリングは重く、トルクのかかりにばらつきがあります。絞りリングはスムーズに回りますが、中を覗くと、絞り羽の動きにぎこちなさを感じます。レンズは前後玉とも、件のカビ以外問題はなさそうです。外観は予想通り、経年の割にきれいです。

調べるとこのレンズは、〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉前期II型だそうです。5群7枚。「トリウムレンズ」という、〈酸化トリウム〉を含有したレンズは、「アトムレンズ (放射能レンズ)」と呼ばれているそうですが、使用に問題はないそうです。しかし、経年によるレンズの変色が後年判明し、その後の採用は取りやめとなったそうです。それではさっそくオーバーホールのための行動開始です。

 

2)〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉を「山崎光学」へ持ち込みました。

2020年1月中旬、新宿の「山崎光学」さんにレンズを持ち込む。電話に出られた山崎翁に事情を話し、今回持ち込みたいレンズ名と、前回お願いしたレンズ群の作業費実績などを説明し、工房へ伺うことになりました。対応していただいたのは山崎翁の息子さん。症状と前回の予算を話す。内部清掃・調整は前回紹介してもらった工房へお願いするつもりなので、レンズ周りの清掃をお願いしました。息子さんにレンズを覗いてもらいました。カビの確認はしてもらったのだが、あまり顔色が優れません。今回の予算を決め「それを超えるようなら電話します」ということで、工房を後にしました。

1週間後、山崎翁ご本人から電話がありました。「すでにレンズのクリーニングは終わったが、後玉に曇りがある。これはクリーニングでは取れません。現状のお話と予算ではクリーニングまでということなので、これで〇です。いつでもお引き取りください」あくまで職人らしい姿勢なのですが、それではこちらの気が済まないので、後玉の曇りを取る研磨をお願いすると、予算は当初のお話の2倍になると。長く使いたいので、かまいませんから進めてくださいと返事をしました。「もちろんです。これはいいレンズですから、そうすべきでしょう」と翁。では、いましばらくお預かりします、ということになり、電話を切りました。

レンズを持ち込んだ日に、息子さんが怪訝な顔をしていたのはこれだったのでしょうか。素人のmenehuneは後玉の曇りには気付きませんでした。しかしこれでいいのです。

〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉それからふた月ほどたち、3月中旬、進捗の連絡をすると、作業は終わって、後は組み立てるだけ、明日には上がりますとのこと。翌日、山崎翁から電話があり、引き取りにお邪魔することとなりました。工房へ到着すると、対応は前回同様ご子息でした。「覗いてみてください」。レンズを手に取ると、研磨をかけた後玉は一目でわかるほどピカピカです。前玉から覗くと、当初のカビは無くなりキレイになっていますが、最初に気付かなかった別のカビらしきものが見えます。指摘すると、取れないカビというものがあるんだそうです。これは納得するしかありません。

この工房の弱点かもしれませんが、作業を行なう翁と、接客を行なうご子息間で情報共有が十分できていないのではないかと、今回の依頼を通じて感じました。依頼者が納得のいく質問をして、その回答を得てから作業してもらったほうが後悔はしないでしょう。今回でいえば、カビの位置と数の確認、部位的にカビは落ちるのか落ちないのか、という点ですね。そもそもカビなのかどうか訊くという手もあるでしょう。

レンズを覗きながら、正直に「これは何ですか?」と訊くのもいいでしょう。悪意なく対応しているとはいえ、工房側と依頼者側が最初から情報を共有しないと、後悔するかもしれないという点は指摘しておきます。

今回「山崎光学」さんで〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉のレンズ清掃と、後玉の研磨でかかった費用は2万円でした。おまけ情報ですが、雑談レベルで知った話では、工房では、原則望遠レンズの扱いはしないそうです。分解が大変だからだそうです。

 

3)〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉の分解清掃を個人工房へ依頼しました。

かくして上がってきた〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉レンズ。やはりピントリングが重い、というか、重い箇所と軽い箇所がある。油はにじんでいないが、絞り羽の作動も精彩を欠く印象。そこで、前回、山崎光学から紹介してもらった個人工房に、今回も点検清掃を依頼しました。依頼内容は、ピントリングの動きをスムーズにすることと、絞り羽の作動点検です。さあ、どうなるでしょう。
それから1週間、品物が戻ってきました。ヘリコイドオイル入れ替えと、絞りリングのオーバーホールをお願いしていたのだが、ばらしたら、絞り羽にカビが発生していたのできれいにしておきましたとのこと。一連の作業で6,000円でした。

 

4)〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉のオーバーホールが終わり戻ってきました。かかったすべての費用公開。

オールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉
こうして、3か月弱で、やっと〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉のオーバーホールが終わりました。ピントリングも、絞り羽の動きもとてもよくなりました。今回トータルでかかった費用を公開しておきます。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉中古購入価格が26,500円。レンズの研磨清掃代金が20,000円。オーバーホールが6,000円。合計52,500円かかりました。どう思われますか。「鷹の目レンズ」と称される、ミノルタの〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉は、ミラーレスカメラの台頭によるオールドレンズブームの中、ムック本でも取り上げられ、比較的程度のいいものが中古カメラ店では同等の価格で販売されています。こうやって、工房でレンズも内部も奇麗にしてもらって、快適な状態で撮影できるのですから、今回のアクションは、満足のいくものです。

 

ミノルタのオールドレンズ〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉とミノルタの純正フード〈D55NC〉

ミノルタのオールドレンズ〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉にミノルタの純正フード〈D55NC〉を装着するとこのような感じです。

5)〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉の試写。RAW現像には、Adobe Camera Raw を使います。

ILCE-7M3にミノルタ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉を取り付けた図SONY ILCE-7M3に、KIPONのアダプターを介して、 ミノルタ〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉を装着します。ファイル形式は、撮影後にAdobe Photoshopに付属する、Adobe Camera Raw で調整を行なうため、RAW形式で行います。

Adobe Camera Rawmenehuneは画像管理そのものは、SONYの〈PlayMemories Home〉を使用しています。このソフトからPhotoshopへ画像を受け渡すことができます。すると、RAWファイルの場合、自動的にPhotoshop内で〈Adobe Camera Raw 〉が起動します。
〈基本補正〉タブで、露出や色味を好みに調整します。

Adobe Camera Raw Camera Raw ダイアログボックスの「レンズ補正」タブ内にある「プロファイル」タブのオプションを使用して、一般的なカメラレンズのゆがみを補正します。プロファイルは写真を撮影したカメラとレンズを識別する Exif メタデータに基づき、補正もそれに応じて自動でおこなわれます。この画像は、〈SONY 16-35mm F2.8ZA II〉で撮影したものなので、自動的に認識してくれます。

 

Adobe Camera RawレンズプロファイルはソニーのEマウント、Aマウントなどは種類が豊富で、ほぼ全モデルが網羅されています。上の画像はAマウントのレンズ群。

Adobe Camera RawこちらはEマウントのレンズになります。しかし、旧ミノルタのレンズはどうかというと。

Adobe Camera Rawこれしかありません。おそらく欧米で人気のMCおよびMDレンズモデルがラインナップされているものと想像できます。旧ミノルタのAFレンズは、SONYのAマウントの同等モデルで一部代用できるかもしれませんが、ディスコンとなった〈AF17-35mm F3.5G〉などのモデルはありません。それ以外のモデルも見当たりません。なんだか悲しいですね。

ただ、逆にとらえると、ここに挙げられているミノルタのレンズ群であれば、Camera Rawにプロファイルが登録されていますよ、という指針にもなります。国内でも人気の〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉や、〈MINOLTA MD ROKKOR 45mm F2〉 などですね。というわけで、その筆頭に挙げられている〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉の画像をいじってみます。

 

6)〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉の作例紹介。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例
〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉F1.2   1/640秒   ISO50 桜の若葉です。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例
F1.2  1/640秒   ISO50   開花したての染井吉野です。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例F1.2   1/250秒   ISO50   珍しい御衣黄桜(ぎょいこうさくら)です。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉F1.2   1/1600秒   ISO50

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉F1.2   1/2500秒   ISO100

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉F4   1/640秒   ISO100

ここまでのすべての画像は、α7III(ILCE-7M3)のピント拡大機能を使わず、花の画像はピーキングアシストで撮影していますが、風景についてはアシスト機能を使わず、ファインダー内のみでピント合わせをしています。また、F値が小さいため、ISOを下げないとすぐに1/8000をオーバーしてしまいます。巷でいわれるように、〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉は確かにぼけがきれいな印象ですね。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例F1.2   1/2500秒   ISO100   この画像はピント拡大機能を使って中央の花房を狙ったものです。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例
〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉F1.2   1/5000秒   ISO100   これも〈α7III〉 のピント拡大機能でアシストしたもの。かつ、KIPON製アダプタのマクロ機能を併用しています。撮影時は風が強く、却ってボケに味を出している気がします。

ミノルタのオールドレンズ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉作例F8   1/125秒   ISO100   最後に〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉でF8まで絞った作例を。今更ですが、桜の花を撮るときは、F値はある程度上げたほうが、印象的な画になりますね。もちろん構図にもよりますが。試写した日は風が強く、マニュアルでピントを合わせるにはつらい環境でしたが、アシスト機能を併用(慣れもあります)すれば、いけるでしょう。

 

7)〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉の印象と、まとめ。

ILCE-7M3にミノルタ〈MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉を取り付けた図ミラーレス一眼にアダプター経由で装着することで、ピント合わせのアシスト機能を得ることができますので、もちろん習熟は必要ですが、目がしょぼしょぼする初老のカメラ少年でも、ピント合わせに苦労することはありません。光学ファインダーでは恩恵を享受できた明るいF1.2レンズだからピントが合わせやすい、ということはないといっていいでしょう。

今回の試写でも、同行させたレンズ、〈MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mm F1.7〉と〈MINOLTA MD ROKKOR 45mm F2〉で、同じ桜の花を絞り開放で撮り比べしてみました。参考までに1枚づつ載せておきます。

ミノルタのオールドレンズ〈MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mm F1.7〉作例〈MINOLTA MC ROKKOR-PF 55mm F1.7〉作例   F1.7   1/3200秒   ISO100


ミノルタのオールドレンズ〈MINOLTA MD ROKKOR 45mm F2〉作例〈MINOLTA MD ROKKOR 45mm F2〉作例   F2   1/2500秒   ISO100

いかがでしょう。解像度的には大差ないように見えますね。むしろ、合焦する範囲が狭いので、〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉の開放値でのピント合わせは結構大変だったりします。となると、個性が出てくるのがボケ味ということになります。ひいき目に言うわけではありませんが、この点では〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉が抜けていると思います。

2020年4月現在、世の中は大変なことになっていますが、せっかくいいレンズを手に入れたのですから〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉の描写を楽しみたいと思います。

なんと〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉がAFに!? AFアダプターのインプレはこちら!

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以下、作例を追加する試写を行ないました。その模様はこちら!

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