前回の記事からだいぶ開いてしまいましたが、SONY α7III(ILCE-7M3)とミノルタのオールドレンズ〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉で撮影してきました。
購入からレストアまでの記録はこちらです。
今回の試写は、以前のエントリでご紹介したAFアダプター、TECHARTの〈LM-EA7〉を使い、AF化した〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉のものです。しかしながら、レンズとフィルター、そしてフードを合わせると、500g近い重量となるこのレンズと〈LM-EA7〉の相性は、〈MINOLTA MD ROKKOR 45mm F2〉や〈MINOLTA New MD 24mm F2.8〉ほどよくありません、というのが何回か試写を重ねて得た印象です。
症状として顕著なのは、〈α7III〉のマルチセレクターで追い込めるフォーカスエリアの幅が端的に狭くなる。さらに合焦しない、ピント合わせに迷いが生じる、といった具合です。また、同じ合焦ポイントでも、絞りを絞るほど、合焦しなくなるといった具合。
〈α7III〉のカスタムキーに「押す間AF/MFコントロール」という設定を割り振ると、〈TECHART LM-EA7〉は作動を停止し、ヘリコイドを格納してしまうので、合焦アシストはできません。こうなると、普通にマニュアルフォーカスでピント合わせを行うことになります。前置きが長くなりました。それでは作例です。
〈ソレイユの丘〉にて。ISO50 F1.2です。周辺減光が盛大に発生しています。
F2.8で撮影。周辺減光は気になりません。
F4で撮影。画像はすべて手前右のヒマワリにAFスポットを当てています。
F8で撮影。RAWで撮影し、Adobe Camera Rawではレンズプロファイル補正のみ行っています。レンズプロファイル補正でどの程度変わるのか、サンプルを上げておきます。
何もいじっていない画像です。
補正後です。
Adobe Camera Rawのレンズプロファイルで〈MINOLTA MC ROKKOR 58mm F1.2〉を選択します。すると、プリセットされているレンズは自動でゆがみ、周辺光量、色収差を補正できます。
建築物もシャープに写ります。
〈ラーメン博物館〉にて。地下鉄の銘板にピントを合わせて。ISO400 F2 1/160秒
中村医院にピント。 ISO400 F2 1/40秒
近所に栗の木があるなんて知りませんでした。ISO50 F1.2 1/1000秒
こうやって夏の日差しの下で使ってみると、周辺減光が目立ちます。春先には感じなかった現象ですね。トロロアオイという花だそうです。ISO50 F1.2 1/5000秒
前回の、〈MD ROKKOR 45mm F2〉レビューでも撮影したフウセンカズラを今回も撮ってみます。ISO50 F1.2 1/800秒
〈横溝屋敷〉の前庭にある水田の稲も前回同様に撮影。ISO50 F1.2 1/3200秒
〈横溝屋敷〉母屋。ISO50 F8 1/640秒
規模こそ違え、母親の実家はこんな感じでしたね。蚊帳を吊ってもらって、障子と窓は全開で寝たものです。「セキュリティ」なんて言葉は、まだ日本にはありませんでした。ISO200 F4 1/40秒
〈横溝屋敷〉は風が通って、真夏の日差しの下でも、風鈴の音が気持ちいです。ISO200 F1.2 1/440秒
これだけあると、少し煩いか。ISO200 F2 1/50秒
背景の送電線がボケることで、絵画のように見えます。ISO50 F1.2 1/8000秒
横浜市鶴見区の「一人僕らの夏休み」エリア、〈横溝屋敷〉周辺は散策しがいがあります。商業施設〈トレッサ横浜〉が近くにあるので、休憩はそちらでいかがでしょう。
駒岡のお寺では、銀杏の若い実がたわわに実っていました。熟すとにおいが気になる銀杏の実ですが、こうして若い実を見ているととてもおいしそうです。ISO50 F1.2 1/320秒
銀杏の可食部はいわゆる種の中身ですが、果肉について言及されているのを聞いたことはありませんね。ということは食べられないし美味しくないのでしょう。
ISO50 F4 1/50秒 八角形の絞りボケです。
〈ソレイユの丘〉からのバス便は多くなく、荒崎に通じる路線を使った方が便利。〈らーめん よしべ〉は非常にオールドスタイルなラーメンを500円で楽しめます。鶏の唐揚げ(単品)600円もお勧め。ISO50 F4 1/40秒
さあ、今回はSONY α7IIIとミノルタのオールドレンズ〈MINOLTA MC ROKKOR-PG 58mm F1.2〉で撮影してきました。F1.2の開放円形ボケが少しうるさいですが、F2やF2.8あたりでそれもとろける印象となります。ポートレートを試せないのは時勢的にも残念ですが、評判通り、印象的な画が撮れるレンズですね。
AFアダプター、TECHARTの〈LM-EA7〉との相性はいまいちですが、もう少し追い込んでみるつもりです。