今回ご紹介する〈すかなごっそ〉は、JAよこすか葉山が運営する大型の農産物直販所です。横須賀、葉山、逗子、三浦の地物野菜、果実、鮮魚、精肉が揃う道の駅的存在。不思議と料理の腕を振るいたくなる場所。それが〈すかなごっそ〉です。
〈すかなごっそ〉はこんなところ。
〈すかなごっそ〉は、JAよこすか葉山が2011年にオープンさせた、大型の農産物直販所です。横須賀市長井の国道134号線沿いに駐車場を広く採った「道の駅」的存在でもあります。マイカーでのアクセスのほか、電車とバスなら京急「三崎口」駅から京急バス3番乗り場から横須賀、荒崎方面行のバスに乗り、「小根岸(こねぎし)」バス停下車すぐです。同バス的に停車するバスかどうか事前に路線図で確認されてください。
店名の由来は、横須賀の〈すか〉、野菜のなっぱの〈な〉に、ごちそう(さま)を意味する〈ごっそ〉を加えた造語だそうです。
場所柄、なぜ「横須賀」とネーミングされているのだろう、と思ったことはありませんか。menehuneもそう思って、改めて地図で調べてみたら、「横須賀市」って、相模湾側のエリアも含んでいるんですね。どうも横須賀というと、東京湾の港町というイメージがあったせいですね。てっきりあの辺りは「三浦市」か「逗子市」だと思っていました。
国道134号線もそうですね。どうしても江の島あたりの海沿いの道を連想しがちですけれど、起点は東京湾側の横須賀市内です。ここから三浦半島を縦横断して、葉山、逗子を巡り、大磯町で終点を迎えます。
〈すかなごっそ〉店内のレイアウトは一般のスーパーマーケットと大差はありません。ただし、扱っている商材は、神奈川県の農業、漁業、畜産業を担う地域の代表でもある葉山、横須賀、三浦エリアの生産者から集まった質の高い野菜や果物をメインに、長井港で水揚げされた新鮮な魚介類、そして貴重な品種でもある葉山牛がラインアップされています。
精肉売り場のメインは「葉山牛」ですが、さすがに値段は高いですが、鎌倉や逗子あたりで買うよりは割安です。
〈すかなごっそ〉ではほかにも、地元横須賀や三浦で作られた和菓子やシフォンケーキなどのスウィーツ、コロッケやメンチなどのお惣菜、横須賀海軍カレーパンや、三崎港で上がったマグロと近海魚を使った海鮮丼やお寿司など、お土産や中食(なかしょく)対応にも抜かりはありません。駐車場の一角には、屋根はありませんがイートインスペースも用意されていて食事も可能です。
〈すかなごっそ〉のお惣菜はマジおススメ!
menehuneが唸ったのは〈すかなごっそ〉の惣菜コーナーで販売されている「葉山牛焼きそば」470円です。
自宅でお皿に盛り直しました。バラ肉とはいえ、高品質な葉山牛を奢った焼きそばは、陳列されるそばから売れていく隠れ名物。冷めたまま食べても、うまみの詰まった牛肉と、大振りにカットされた葉キャベツの甘みが口の中に広がります。この二つの具を支える麺の弾力と絡まるソースの相性も抜群です。ごっそ、おススメです。開店直後は確実に入手できますが、完売は時間の問題です。
〈すかなごっそ〉の人気惣菜、「葉山牛メンチカツ」@210円です。葉山牛と国産牛の合いびき肉をボール状に丸めて揚げています。正直サイズは小さいので割高に感じますが、「葉山牛メンチカツ」は早い者勝ちで、平日でも夕方4時ごろには完売する日があります。
〈葉山牛コロッケ〉は夕方でもストックが確認できます。保温されている状態で、1枚づつ買うことができますので、味見をされてからお持ち帰りするか決めてみてはいかがでしょうか。
〈葉山牛メンチカツ〉は、いかにも挽肉という断面です。〈葉山牛コロッケ〉は甘みがあって個人的には苦手なタイプです。メンチはおいしいですが、葉山牛にこだわらなければもっと安い単価でおいしいメンチはありますよね。例えばメンチは以前書いた〈川窪牛豚肉店〉ですし、葉山牛コロッケなら、逗子の〈冨士屋牛肉店〉が、甘くなくておススメです。
〈すかなごっそ〉には、軽食の販売コーナーもあって、酪農体験ができる横須賀の「関口牧場」が提供する濃厚ソフトクリームが人気です。
「すかな焼き」とは、具が地場産のキャベツだけという、潔いお好み焼きです。
menehuneのご提案は、旧海軍基地から米軍長井ハイツを経て、市民の憩いの場となっている〈ソレイユの丘〉へ買い込んだ惣菜を持ち込んで、屋根付きのテーブルセットでいただくプランです。天気が良ければ相模湾越しに富士山を望むこともできます。
来場客に餌付けされた、それでも警戒を決して解かない半野良猫がテーブルに寄ってきます。施しを与えるかの判断はお任せしますが、決して手を近づけないでください。引っかかれます。
※横須賀市のウェブサイトでは、園内のレストランへの弁当の持ち込み、ファストフード周辺のテーブルセットでの飲食は一応禁止されています。レストランなら当然ですが、屋外のテーブルセットならば問題なかろうかと思います。人出と時間、混雑具合で判断してください。もちろんシートを敷いて飲食しても構わないのですが、ここにもトンビがいますので注意です。「屋根付きの」と書いたのはそのせいです。補足しておきますと、銘柄は限定的ですが園内でアルコール類は販売されています。持ち込みもOKです。話を〈すかなごっそ〉に戻しましょう。
〈すかなごっそ〉が提供する農産物・海産物
〈すかなごっそ〉店内のPOPで目に留まったのは、「ミネラルやさい」として生産されているキャベツです。有機肥料を酵母、乳酸菌などの有用微生物で発酵させた「ボカシ肥料」と呼ばれる肥料を用いることで、元気な畑から柔らかく甘みのあるおいしいキャベツが出来上がるそうです。キャベツ以外にも、カリフラワー、ブロッコリー、ホウレンソウ、ハクサイなどがこの肥料を使った畑で生産されていて、野菜嫌いやアトピーに対応し日持ちもよいそうで関東ではスーパー〈紀ノ国屋〉でも販売されています。
三浦半島は国内有数のキャベツ産地で、特に4月と5月は全国トップクラスの生産量だそうです。また、11月から3月にかけて生産される「早春キャベツ」は、真冬にできるキャベツなのに柔らかくて甘いのが特長だとか。米国立がん研究所での発がん予防のための食品研究で、ランキングされた農産物の中で、キャベツはニンニクや、カンゾウ、ショウガ、セリ科植物などと一緒に、がん予防効果が期待できる農産物のピラミッドの頂点に挙げられています。ビタミンK、ビタミンC、カルシウム、食物繊維が豊富です。
また三浦半島は日本一のダイコン産地だそうです(秋冬ダイコン)。ダイコンにはビタミンCと消化酵素のアミラーゼが豊富に含まれ、その葉にはβ・カロテン(体内でビタミンAになる)、ビタミンC、鉄が豊富に含まれています。葉が青々としてずっしり重い身のしまったダイコンがおススメだそうです。街中のスーパーでは葉がついているダイコンは見かけませんが、こうした直売所では葉が付いたままのダイコンを購入できます。ただし、葉をつけたままで保存すると、ダイコンの水分を葉が吸ってしまうため、購入後は早めにカットしてくださいとのこと。根と茎、そして葉っぱの関係、なるほど納得です。三浦ダイコンは煮崩れしにくいため煮物に適しているそうです。おでん食べたくなってきました。2020年は暖冬で成長しすぎたダイコンの廃棄が増えているそうで残念です。
京都産でおなじみの聖護院(しょうごいん)ダイコンも、ここ三浦半島で生産され、〈すかなごっそ〉で販売されています。川崎の大きな八百屋さんでこの時期、京都産の聖護院ダイコンが売られているのは知っていましたし買ったこともありますが値段だけで判断するなら7割から5割ほど〈すかなごっそ〉のほうが安いですね。
〈すかなごっそ〉では珍しい野菜や香草も売られています。プチベールは、ケールと芽キャベツを掛け合わせた野菜です。実だけでなく、その外葉もビタミンCをはじめ豊富なビタミン、ミネラル、カリウムを含み、糖度も一般的なミカンやイチゴと同じ11~13度にもなり、上品なほんのりとした甘みです。生のままだとゴワゴワして食べにくいので、フルーツやヨーグルト、豆乳や牛乳などと一緒にミキサーにかけ、スムージーにするとヘルシーにいただけるそうです。調理する場合、沸騰した湯に少し塩を加えて2分ほど下茹でしすぐに冷水にさらします。茹でたプチベールはサラダやおひたし、和え物、スープに。下茹でしたものをニンニクを効かせたバターやオリーブオイルであおり、パスタの具や料理の付け合わせにも彩りを添えてくれます。
まさに食材の宝庫〈すかなごっそ〉。まとめ買いをしていく調理人にとって、安価で手に入る天国なんでしょうね。「ロマネスコ」も旬を迎えたのか、1/23現在、陳列数もがぜん増えて、価格も百円台からと、求めやすい価格になっています。
地元ブランドの「味比べ3色セット鶏卵」も魅力的です。南米チリ原産の希少な鶏「アローカナ」が産んだ青い卵〈タフラン〉はビタミン豊富で臭みもなく、生がおススメ。そしてピンク色の横須賀ブランド〈しおさい〉、鉄分を強化した茶褐色の〈アトムくん〉で構成されています。値段はパック380円から460円ほどですが、たまには贅沢したいとき、奮発するのもいいでしょう。
別棟の〈すかなごっそ・さかな館〉では朝どれのサバ、アジ、太刀魚、ホーボー、タコ、イカなど地元長井漁港で水揚げされた魚介類、そして三崎マグロが手に入ります。
剣先イカ(だるまいか)。横浜のスーパーなどの鮮魚コーナーでは見かけないです。
そして、それらの新鮮な魚で仕込んだ、数量限定の海鮮丼や、握り寿司が手に入るのです。ここでもmenehuneはこれらの食料を買い込んで、〈ソレイユの丘〉でいただくことをおススメします。何なら、このためにクーラーボックスとエキストラ醤油&わさびを自宅から持参する! くらいの準備をしてもいいかもしれません。真冬のいまならいいですが、温かくなるとどうしても保冷剤が必要になりますからね(保冷材は有償で分けてくれます)。こちらも完売必至。ゲットするなら午前中がおススメです。
〈すかなごっそ〉まとめ。
新鮮な野菜を中心に、豊富な食材が手に入るJAよこすか葉山〈すかなごっそ〉は地元の方のほか、調理人、コックさんと思しき方が買い物かごに物珍しい野菜を詰めています。イタリアンやフレンチなどで重宝するのでしょうね。横浜に住む我々も流通を省く形で比較的安価に新鮮な食材が手に入るこの施設を見逃すのはもったいないですね。〈すかなごっそ〉へは自家用車で向かうもよし、京急で向かうもよし。ただし週末は134号線が渋滞するので、開店直後から午前中が狙い目かもしれません。
以上、JAよこすか葉山の農産物直販所〈すかなごっそ〉のご紹介でした。
農産物直売所〈すかなごっそ〉で購入した〈ロマネスコカリフラワー〉を簡単調理したエントリです。ご参考まで。
www.menehunephoto.net
農産物直売所〈すかなごっそ〉
神奈川県横須賀市長井1-15-15
TEL:046-856-8314
営業時間 9:30~18:00 定休日:水曜日(祝日の場合は営業)
敷地内温水洗浄便座付き/バリアフリー対応トイレ完備
URL: https://ja-yokosukahayama.or.jp/sucanagosso/