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温浴施設における〈杖〉の持ち込みについて考えた。そして〈用宗みなと温泉〉へ行ってきた。


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昨年、とある出来事に遭遇し、温浴施設における〈杖〉の持ち込みについて考えてみました。

 

 

〈杖〉の持ち込みについて考えたきっかけは、よく行く川崎の温泉施設でした。

 

気持ちよく湯に浸かっていると、杖をつき足元のおぼつかない老人が浴槽に向かって近づいてきました。数十回とその施設には通っていましたが、このような場面に遭遇したことはありませんでした。そして驚いたことに、老人は浴槽に杖を突っ込み、バランスを取りながら入浴を始めたのです。※外部から持ち込んだものであることは確認済み
とっさにmenehuneは浴槽から飛び出しました。
その利用者はその後頻繁に遭遇するようになり、menehune のほうがその温泉施設を利用するのを見合わせるようになりました。
釈然としないので、メールでその温泉施設に問い合わせをしました。このような現状を認識しているか。このような利用者に対し、どのような対策をとっているか、です。
それから2か月経ちますが、施設からの回答はありません。
その温泉施設の公式サイトにはプライバシーポリシーの記載はあるものの、肝心の施設利用に関する注意事項についての記載は、刺青入場禁止程度の最低限なもので、それはある意味牧歌的でおおらかなのかもしれませんが、館内を含め、このような事例にどう対応するのかの記載はありません。あいまいな対応をとったことにより、健常者を不快にさせ、障害者からは差別だと糾弾される。この最悪のシナリオだけは避けなければいけません。施設として明確かつ毅然とした姿勢を明文化する必要があるでしょう。menehuneもこのような経験をした以上、施設側の姿勢を確認してからサービスにあずかりたい、と思うようになりました。

 

menehuneの〈杖〉の持ち込みについて、考え方の基本を述べておきます。

 

ここで考え方の前提として断っておきたいのは、公衆浴場法でいうところの「一般公衆浴場」と定義される浴場であればともかく、一般の温浴施設は公共施設ではないだろうと理解している点です。まさかJR各線に杖や車椅子を持ち込むな、という人はいないでしょう。交通機関は公共インフラという認識で間違いないでしょう。しかしながら、「その他の公衆浴場」として区別される一般の温浴施設は、公立でもありませんし、いうなればただの営利企業です。コンプライアンス法令遵守)は当然ですが、その上で、その施設ごとの明確な利用ルールを設け、公言しない限り、前述したようなケースは必ず起こります。高齢化が進む日本で、言いたくはないですが、高齢者のクレーマー化や傍若無人な振る舞いはますます増加するでしょう。年老いて障害を持つ身になったなら、なおさらでしょう。自身の災いを呪い、その歯がゆさ故、周りに当たり散らすかわいそうな人たちを見るのは辛いものです。
であるからこそ、施設ごとの現状に即した、目標、計画、姿勢を明確にし、対応していく必要があるのです。
これこれこういう理由だから「うち」は(条件付きで)杖の利用を認めます、逆に、これこれこういう利用で「うち」は杖の利用を制限します、または認めません、という主張をすることは違法ではありません。
障害者差別解消法における「合理的配慮」の理念は理解できますが、一方で、「客観的に見て正当な目的の下に行われ、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合は正当な理由に相当」する、施設側の自由も認められているとみるべきでしょう。事故が起きた際、責任の所在があいまいで、業務上も入浴介護は行っていない、などと配慮範囲を表明し、行動する姿勢です。

 

 

 〈杖〉の持ち込みについて、いくつか温浴施設のスタンスを調べてみました。

このような経験をした以上、施設側の姿勢を確認してからサービスにあずかりたい。それで、他の温浴施設はどういった姿勢で臨んでいるのか、いくつか調べてみました。

 

山形県のある旅館はバリアフリー化を推進し、自らバリアフリーの温泉宿」を表明しています。

また、静岡のあるスーパー銭湯は、「館内用」車椅子と杖への交換をお願いし、またその館内用の物でも脱衣所以降の浴室には持ち込み不可、と表明しています。まず、「館内用」車椅子と杖への交換理由は、館内は「土足厳禁」であり、利用者の杖や車椅子もこれに該当すると判断しているからです。また浴室は段差があり、杖や車椅子の利用は危険であり、万が一濡れた床で滑った場合、本人以外に他の利用者にけがを負わせる事態になると判断している。とした上で、「当館では様々な危険を未然に防ぎ、全てのお客様に快適にお過ごしいただける施設を目指しております。ご理解いただきますようお願い申し上げます。」と表明しているのです。
このように、入館を断る「理由」まで明示している施設は多くありません。

このほか、東京都内のある温泉施設では、「事故防止のため車椅子等歩行補助器具はフロント入口まで、杖類は脱衣室までとなります。」としています。

横浜市のある施設では、「車椅子でお越しの方は、脱衣所まで車椅子をご利用頂けます。浴室内でのご利用はお断りいたします。必ず同性の付き添いの方の同伴が必要です。店舗では介助いたしかねますので、ご了承ください。」とあり、杖についての言及はありません。

また、千葉県のある施設は、「ご利用上の注意」欄ではなく、「よくあるご質問」欄に収納されてしまっており、消極的と言えるでしょう。
Q 杖・車いす・松葉杖を使って入浴できますか?
A 浴室以外の場所ではご利用いただけますが、浴室内でのご利用はお断りいたしております。また安全上、浴室内は滑りやすくなっていますので、どなたかご同伴されてのご利用をお願い申しあげます。

愛知県のある施設は、「※杖や車椅子を使用して浴室内へはお入りいただけません。」と簡素に記載。

埼玉県のある施設は、「車椅子でのご入館は可能ですが、2階エリア(浴場)ご入場は、脱衣室までとさせていただきます。車椅子については、脱衣室にてスタッフがお預かりいたします。また、ご入浴の場合は付き添いの方同伴でお願い致します。※詳細確認の際は、当館に御連絡下さいませ。浴室には車椅子や杖などタオル以外の持込みは出来ませんのでご了承下さい。」と詳しく周知しています。

このように、車いすや杖の利用の制限を表明している施設がある一方、施設の規模が大きければ、このあたりの周知も徹底しているかといえばそうでもなく、熱海の大規模温泉施設のウェブサイトには本件に関する記載は一切ありません。
片や同じ系列の都内の大規模施設にはFAQ欄に「館内専用車椅子をご用意しております。台数に限りがありますので、電話にてご予約ください。
※ご自身の車椅子の持ち込みは、お断りしております。
※浴室をご利用の際は、同性の同伴者が必要となります。
なお、浴室での杖のご利用については、安全衛生管理上、お断りしております。ご不明な点はお問い合わせください。」とあります。熱海の施設はこのあたりの案内を至急構築し、表明する必要があるでしょう。 


明確なスタンスを表明している温浴施設〈用宗みなと温泉〉へ浸かりに行ってきた。

 

用宗みなと温泉外観ところで、文中、静岡県『入館を断る「理由」まで明示している施設』として取り上げた施設に行ってきました。2018年12月22日にオープンした〈用宗みなと温泉(もちむねみなとおんせん)〉です。ああまではっきり、公式ウェブサイトに自身のポリシーを表明している施設の現状(スタッフの質と客筋)を見てこようという算段です。

静岡駅で新幹線から東海道線に乗り換え、二つ目の駅が「用宗(もちむね)駅」です。徒歩で用宗漁港を目指し歩き出し、特段観るものもないまま15分ほどで用宗漁港に到着。〈用宗みなと温泉〉は一番駿河湾寄りにあります。
用宗漁港は主にシラス漁が盛んで、周辺には生や冷凍のシラス売り場が点在します。〈用宗みなと温泉〉の建物も、漁港の施設をリノベートしたものだそうです。

用宗みなと温泉館内利用料も一般で平日800円、週末でも950円と低廉のため、客層は地元のご老人がほとんど。しかし矍鑠とされた方が多い印象。動きがのろくないんです。
スタッフも動きは機敏で、かったるい所作は見受けられませんでした。ただの偶然でしょうか。館内や脱衣所の要所に「日本一の清潔な温泉を目指す」といったスローガンや注意書きが貼られていて、感心させられます。こんなに意識の高い温浴施設、見たことがありません。

天気が良ければ、漁港越しに富士山を望む露天風呂は広くはありませんが、入った気にはなる湯です。内湯も高濃度人工炭酸泉や、地下水を使った浴槽が楽しめます。ただ、浴室全般、そう広くはありません。平日の午前中で比較的すいていたせいで窮屈さは感じませんでしたが、もう少し名前が浸透すると、大変かもしれません。

用宗みなと温泉館内ロビーと併設されるレストランは休憩処を兼ねており、テラスで休憩や飲食も可能です。食堂はおおむね低価格でいただけます。ただし、畳部屋やリクライニングチェアで横になりたい、という向きには対応できないので注意です。
近くにあれば通いたいところですが、静岡県ですからね。残念です。

minato-onsen.jp



〈どんぶりハウス〉の用宗丼
ランチは近隣に海鮮丼を出すお店がありますが、漁協が営業している〈どんぶりハウス〉のほうが飾り気はありませんが安価でいただけます。
マグロの漬けと生シラスが乗った「用宗丼」は900円。

〈三笑亭〉のお惣菜お土産として、街道沿いの〈三笑亭〉という精肉店の総菜がおススメです。

 

 

まとめ

 

menehuneは以前からサービスの利用者とサービス事業者の立場は対等である、という考えを持っています。施設側は一方的に客から攻められるわけではなく、施設側の理念に則った施策により、その理念に相いれない利用者をオミットすることができる。そして利用者側もそのような施設を積極的に選ぶことをせず、自身の考えを尊重してくれる施設を利用すればいいのです。内風呂が波及し、大方の銭湯が廃業したいま、その銭湯すら特に〈デザイナーズ銭湯〉のように、公共性というよりも、嗜好性に依る施設の場合、このような事業者側の行動が容認されてしかるべきと考えます。
最悪なのは、その場しのぎの対応に終始し、スタッフにより制限の幅が違ったり、対応に差が出ること。事案に対して全スタッフで情報を共有せず、全社的な対応策も策定しないことです。これでは「三方よし」どころか、誰も幸せにはなれません。
これは杖に限ったことではありません。温浴施設業界だけの話題でもありません。それぞれの業界団体で共通の想定問答集が用意されていると思いますが、各禁止事項や、制限事項について正当な理由を用意し、リーガルチェックを経て、非常時の通報マニュアル、連絡網の構築まで済ませた上でマニュアルを制定する必要があります。ここまで構築してはじめて、利用者と事業者が双方納得したうえでサービスを利用し、提供することができる、とmenehuneは考えます。


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