〈海員生協〉をご存じですか? 「全日本海員生活協同組合」が運営する施設で、〈波止場食堂〉に併設された形で売店を営業しています。各種お弁当やカップ麺、お菓子から、カー用品、雑誌、タバコ、衣料など、一般のコンビニエンスストアにカー用品と衣料品の陳列を充実させ、COOP(日本生活協同組合連合会)のPB(プライベート・ブランド)も購入することができます。
※本当は組合証の提示が必要なんだけれど
そんな、〈海員生協〉が単独で運営する「食堂と売店で構成された」施設が横浜と川崎に数件あります。今回は、そんな店舗をご紹介します。
- 1)海員生協 大桟橋店立ち食いコーナー (大さん橋)
- 2)海員生協 本牧店レストラン(本牧ふ頭)
- 3)海員生協 南本牧店うどんコーナー(南本牧ふ頭)
- 4)海員生協 大黒3号店うどんコーナー(大黒ふ頭)
- 5)海員生協東扇島レストラン(東扇島)
- 6)横浜・川崎の海員生協食堂まとめ・追記
1)海員生協 大桟橋店立ち食いコーナー (大さん橋)
「海員生協 大桟橋店」を併設しています。一番楽なアプローチの方法は、横浜駅東口バスターミナルから市営バス26系統に乗って、「大桟橋」バス停下車。大さん橋に向かい5分ほど歩く途中にお店はあります。
港湾労働者のほか、タクシーの運転手や、周囲の一般人まで、利用客は広範です。
券売機はなく、マスターのお父さんと現金のやり取りです。
こちらの最大の特長は、年末年始を除き、祝日を含め毎日営業している点ですね。これはありがたい方もいるでしょう。観光地のど真ん中に位置しているにもかかわらず、観光客は当てにできないでしょうからね。※2021年1月以降、当面日曜休業となります。
店内にはクルーズ船のポスターが掲出されていますが、皮肉なものです。
天ぷらそばのかき揚げは揚げたものをストックしているので、麺つゆがギトギトしないし、衣も厚く食べ応えがあります。お蕎麦は冷凍だけど、小麦粉臭くなくて出汁との相性もいいです。たまたまかもしれないけれど、ネギがデフォで多めなのもグッドです。しかし、値段は400円。波止場食堂のそれが290円なのに対して、割高感は否めません。立ち食いスペースだけで、もともとの店が手狭なため、廊下の向かいの部屋を開放して臨時カウンターを設けています。
牛スジ煮込みそば470円は牛バラとダイコン、ニンジン、こんにゃく、長ネギの煮込みがおたま2杯分トッピングされ具沢山、出汁に甘みを添え美味しいです。
海員生協が運営する食堂ではカレーがおススメだそうで、カレーを頼む客が確かに多いです。カツカレー520円は店内でもいただけますが、隣接する海員生協でもテイクアウトスタイルで購入することができます。後述する2店で食したカレーと比して、ジャガイモや豚肉などの具の存在が確認できるのと、ルーもコクと辛みが感じられます。幟を立てアピールしているだけのことはありますね。汗をかかない程度のパンチを感じることができます。ライスも多めですが、お米が水分を多く含みべちゃっとしているので、店内で食することをおすすめします。
海員生協大桟橋立ち食いコーナー が入居する「大さん橋総合ビル」には、もう一軒の食堂〈大桟橋食堂〉が入居、営業しています。日替り定食やグランドメニューが500円ワンコインでいただけます。
海員生協 大桟橋店立ち食いコーナー
神奈川県横浜市中区海岸通1-1
平祝日6:45~14:30 7:00~14:00 ※2020/7/20以降
日曜7:00~13:30 休業 ※2021/1/10以降
休日 年末年始
2)海員生協 本牧店レストラン(本牧ふ頭)
〈海員生協 本牧店レストラン〉へは、大桟橋の店舗同様、横浜市営バスの26系統に乗って、「船員センター前」バス停下車。そこから徒歩1分の場所にあります。バス停前の〈USS:ユナイテッド シーメンズ サービス〉も面白いところですが、今回は割愛します。
駐車場が広くないため、大型トラックはお店前の路駐が常態化しているようですが、交通量が少ないため、支障はないようです。
メニューの数はさほど多くはないようで、券売機にも空白が目立ちます。
11時を回って、少し混んできました。このあたりをブラっとするなら、JR石川町駅あたりを起点として、元町経由で新山下からここ〈海員生協 本牧店レストラン〉を目指し、ランチを終えたら、本牧通り経由で石川町駅まで戻る、なんていうコースもいいでしょう。
天ぷらそばは410円と高め。ミニカレーは230円。カレーは横浜の海員生協の標準仕様なのか、甘口でパンチが足りない印象です。
天ぷらは数種から選べる仕組みで、追加は現金払い。かき揚げ蕎麦は他店同様、ネギ多めなのは嬉しいです。他店との違いは、おろし生姜をトッピングできる点。
カレーは横浜の海員生協の標準仕様なのか、甘口でパンチが足りない。あとこれも仕様なのか、ラジオからFM横浜が流れています。
海員生協の品揃えは独自で、他所ではおめにかかれないものばかり。ニュータッチのかすうどんやカレーうどんなど、こんなカップ麺も他所では見たことがありません。
本牧店の生協は広くて品ぞろえも豊富なので、よそでは買えないアイテムをお土産にしてもいいでしょう。
駐車場の敷地に公衆便所があるせいか、規模の割に、館内のトイレは男女兼用の個室が生協売店の奥に一つだけですが、温水洗浄便座付きです。
海員生協 本牧店レストラン
神奈川県横浜市中区本牧ふ頭3-1
平日5:30~18:00
土曜6:00~14:00
休日 日・祝日及び年末年始
3)海員生協 南本牧店うどんコーナー(南本牧ふ頭)
JR根岸駅から市営バス97系統に乗車。ルートはいくつかあるのだけれど、いずれのバスでも停車する「かもめ町」バス停下車。そこから先は全く未知の世界です。
「南本牧大橋」という名前も聞いたことのない、大型トラックがビュンビュン行きかう橋を1キロほど歩きます。歩道は広く採られていますが、運河に架かる橋を進むと、高所恐怖症の方は足がすくむかもしれません。
こうして10分ほどで、海員生活協同組合 南本牧店に到着です。
生協に隣接する形で、〈海員生協南本牧店うどんコーナー〉があります。
規模の割にメニューは豊富な印象です。
うどんコーナーこのお店も店内は立ち食いオンリーですが、店外には簡易なテーブルセットがあるので、昼食の混雑時対応でしょうか。また、店内は通路が広めで、カウンター下部にも広い荷物置きが設えられていて、快適な立ち食いタイムが送れます。
天ぷらそばは大桟橋の立ち食いコーナーと同じ400円ですが、彼店がかき揚げがデフォで提供されるのに対し、こちらのお店では、本牧レストラン同様、複数の天ぷらからチョイスできるようになっています。
ただ、かき揚げの出来は大桟橋に軍配かしら。具全体のボリュームが彼店より少ないです。でも、ネギ多め、麺の蕎麦感と、濃いめの出汁とのバランスは負けていません。ミニカレーは230円。本牧レストラン同様辛さはほとんど感じず、甘口で若干物足りません。大桟橋のカレーもこんなもんなのかしら。
大きく採られたパーキングには大型トレーラーがひっきりなしに入ってきます。実際、ここ南本牧埠頭には、各施設内のものを除いて、周辺にコンビと食堂はないので、トラック運転手のオアシスなのかもしれません。
海員生協のほうでは、カー用品はもちろん、防寒具や弁当類も豊富に用意されています。公衆トイレは和式のみです。
JR根岸駅から本牧埠頭を循環して根岸駅に戻ってくる97系統の市バスは、普段目にすることのない、横浜の港湾機能も見学できる面白い路線です。朝夕は頻繁に、日中でも1時間に2本は便があります。この路線は、循環途中、「本牧ふ頭入口」というバス停を経由します。ここで下車すれば、先に書いた〈海員生協 本牧店レストラン〉へも5分ほどと至近ですので、はしごも可能ですよ。
海員生協 南本牧店うどんコーナー
神奈川県横浜市中区南本牧2
平日6:30~15:00
土曜6:30~14:00
休日 日・祝日及び年末年始
4)海員生協 大黒3号店うどんコーナー(大黒ふ頭)
〈海員生協 大黒3号店〉へは、バス便なら、JR鶴見駅東口のターミナルから、大黒ふ頭を循環する市営バス17系統に乗り30分、「T3バース入口」下車。徒歩5分で到着します。もう二つ先の停留所「T4バース」で下車すると、徒歩1分ですが、トータル変わりません。
倉庫関連の港湾労働者のため、朝6時台、7時台はバス便も多いですが、9時を回ると1時間に1本というダイヤになりますので、早朝に出かけて、バス便のあるうちに鶴見駅に戻るコースをおすすめします。
時節柄、進行方向にクルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス」が接岸されている様子が見えます。
3号店のお店周りは清掃が行き届いている印象です。因みに1号店は〈波止場食堂つばさ店〉に併設。2号店は〈波止場食堂レストハウス店〉に併設されています。
〈海員生協 大黒3号店うどんコーナー〉入口。ここまで書いてきて、横浜の海員生協の食堂はすべて入口が自動ドアであることに気付きました。
生協の店舗(売店)はさほど広くはありませんが、うどんコーナーの品揃えは充実しています。このお店も天ぷらそばは、かき揚げ、磯辺揚げ、イカ、ナス、ゴボウ、エビ、鶏、から選べます。全部乗せしたくなっちゃいます。
このお店も店内には船舶関連の写真が貼られています。あっちのカウンターでいただくと勉強になりそう。うどんコーナー店内は通路が比較的余裕がある点はいいのですが、カウンター下の物置が物置に転用され使えないのがつらいです。
小カレーにしようと思ったのですが、少し飽きたので、納豆ご飯(ミニ)230円にしました。天ぷらそば400円は、ネギ大盛りがデフォルトなのか、うれしい誤算です。かき揚げも美味い。海員生協の蕎麦は品質が安定していて、どのお店でもおいしいですね。最初から攪拌され、刻みのりが乗っかった納豆ご飯は、蕎麦との相性もいいです。
店員の物腰が柔らかいのが好印象です。ドライバーに対する労りの言葉が書かれたボードにも姿勢が垣間見えます。
海員生協 大黒3号店隣の空き地のねこ。
大黒ふ頭に至る道すがら、また帰途の途中に渡る「大黒大橋」からは、みなとみらいのビル群の向こうに富士山が望めます。よくカレンダーなんかで見かけるあれですね。こんな風景を拝めるのも大黒ふ頭へ赴く余得かもしれません。
海員生協 大黒3号店うどんコーナー
神奈川県横浜市鶴見区大黒ふ頭19
平日6:30~18:30 6:30~14:45
土曜6:30~14:00 6:30~13:30
祝日7:00~13:30
休日 日・及び年末年始
5)海員生協東扇島レストラン(東扇島)
川崎駅東口のバスロータリーから川07系統の川崎市バスに乗り30分、「東扇島福利厚生センター前」バス停下車。
通りを渡ってすぐの敷地に、一般に、〈海員生協川崎レストラン〉として知られる〈海員生協東扇島レストラン〉があります。併設される海員生協はローソンに委託されていて、通常のローソンのサービスも受けられます。Wi-Fiも利用可能です。
入口の看板や店内の掲示など、両方の店名が並列しています。
ここの特長は、他の店舗にはない定食メニューが提供されている点で、「三品定食」700円は超ボリュームです。カフェテリア方式でトレーを滑らせながら小鉢を2鉢選びます。月~金曜日のメニューとなるので注意です。土曜日は提供がありません。
規模も横浜、川崎の海員生協食堂の中では一番の広さです。
サラダ、冷ややっこ、キムチ納豆や、
ホウレンソウ、きんぴらごぼう、オムレツ、春巻き、シウマイ、ナポスパなど、小鉢の種類は10種以上と豊富です。
火曜日は小鉢2つとメインディッシュは鶏唐揚げと豚バラ生姜焼きのコンボ。ライスは盛りを訊かれるので、少し多めにと言ったらこの盛り。これで料金変わらないんだからすごい!
〈海員生協川崎レストラン〉の三品定食は、まさに「漢飯(おとこめし)」って感じです。こちらは着席していただけます。
毎金曜日は感謝デーで「三品定食」が100円引きの600円! で、これが食せる。圧倒的なコストパフォーマンスです。
月曜日はチキンカツとハンバーグ。しかも玉子乗せ。小鉢は刻み昆布がたっぷりのキムチ納豆とシウマイ、ナポスパ。普通に美味いから困ります。
天ぷらそばは410円と割高に感じてしまいます。ねぎは少なめですが、かき揚げが肉厚で食べ応えがあります。
カツカレー550円は、やはり甘口だけれども、ボリュームはありますよ。みそ汁はセルフサービスです。
〈海員生協川崎レストラン〉が入居する「東扇島福利厚生センター」には温水洗浄便座付きのトイレが備わっています。
川崎駅から30分近くバスに揺られるけど、バス停からは近く、バスの本数もそれなりにあるのでアクセスには便利です。バスは京浜工業地帯の工場群の中を通り、「川崎港海底トンネル」もくぐるため、ちょっとした社会見学気分です。因みに川崎港海底トンネルは人道用トンネルが設けられていて、日本一長い、人が通行できる海底トンネルです。menehuneは怖いんで歩いたことはありません。関門トンネルは歩いたことがありますが。
また、東扇島は大型トラックが多数行きかうので車道を横切る際は注意です。
海員生協東扇島レストラン
川崎市川崎区東扇島31番地先
平日6:30~14:30
土曜6:30~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
6)横浜・川崎の海員生協食堂まとめ・追記
最初に〈海員生協東扇島レストラン(川崎レストラン)〉で三品定食をいただいた時の衝撃は忘れがたいものがあります。あの値段でこのボリューム。バスで 赴く価値はあるはずです。平日に時間が取れるなら、間違いなくおススメです。〈大黒3号店うどんコーナー〉はバスにさえ乗ってしまえば、豊富なメニューにあずかれますし、〈南本牧店うどんコーナー〉も、最寄りのバス停から1キロ歩くのは難儀ですが、のちの楽しみのためなら乗り越えられそうです(大袈裟・帰りはどうすんだ)。以前のエントリで書いた〈波止場食堂〉とタッグを組んで、地域の労働者のために安くてうまい飯を提供してくれる〈海員生協〉を、menehuneも利用していきたいと思います。
〈海員生協東扇島レストラン(川崎レストラン)〉2020年6月のメニューです。残念ながら、新型コロナ禍により、衛生面が考慮された結果、小皿が選べる三品定食は休止され、普通の定食の提供となっていますので、楽しみにされている方は注意です。