〈波止場食堂〉をご存じですか? 大黒埠頭や山下埠頭、本牧埠頭で営業している、港湾労働者向けの厚生施設ですが、一般の利用もできます。厚生施設のため、比較的リーズナブルにモーニングやランチがいただけます。このページでは、各お店の特徴と料理の印象を紹介していきます。
卸売市場や公設市場など多くの業界関係者が働く場所には、従事する関係者向けの食堂や売店が設けられることが多いですが、ここ、港町横浜では、〈波止場食堂〉がその役割を担っています。
- 1)波止場食堂山下店(山下ふ頭)
- 2)波止場食堂出田町店 (出田町ふ頭)
- 3)波止場食堂つばさ店(大黒ふ頭)
- 4)波止場食堂レストハウス店(大黒ふ頭)
- 5)波止場食堂Y-CC店(大黒ふ頭)
- 6)波止場食堂濱店(本牧ふ頭)
- 7)波止場食堂B-7店(本牧ふ頭)
- 【横浜の波止場食堂・まとめ】
1)波止場食堂山下店(山下ふ頭)
〈波止場食堂〉という名前は、港湾労働者の利便性向上のため厚生協会が運営する食堂のことで、全国各地の港湾施設に同様のネーミングの食堂があったりします。
〈波止場食堂山下店〉は、平日なら朝6:30から9時まで。土曜日なら朝7時から9時まで朝定食と麺類が選択できる朝食が味わえます。
山下公園界隈からでも地図アプリを頼りに足を向ければ、10分程度でたどり着くでしょう。埠頭の空気を感じ、朝日を浴び、散歩がてら赴くのは横浜観光の立派なオプションと言えると思います。2017年夏に移転オープンした店内はきれいで清潔です。
朝食の定食は、ハムエッグ/スクランブルエッグ定食と焼き魚定食が410円の安さです。豚汁定食も410円。納豆定食は360円だ。ラーメンやそばうどん類、カレーもチョイスできます。これは狙っていかない理由がないではないですか。これに生卵30円と納豆50円をつければもう無敵です。これで1人490円。
※取材当時ライス大盛りは無料でしたが、現在は50円プラスです。
朝定食の焼き魚も、生卵30円と納豆50円に豚汁変更100円で590円。
これはラーメン360円とミニカレー210円。しめて570円。
醤油ラーメンのスープは飲み干したくなる癖になる味。縮れ麺も労働者仕様で量多めです。チャーシュー、メンマとも中華街を擁する地元の味に負けないものです。仕入れルートに隠し味があるとみました。
かき揚げそば(290円)。麺は小麦粉感の薄い印象でマル。かき揚げも作り置きのため、却って油のギトギト感がなく好印象。これで290円は安いです。
現金注文の握り飯(@80円)。
モーニングにふさわしい野菜サラダ(150円)が用意されている点も嬉しい。
底面にたっぷりのキャベツの千切りが敷かれ、その上にサニーレタス、スライストマト、角切りにカットされたキュウリ、コーン、ゆで卵とロースハムがのっかっていてボリュームがあります。
カツカレーのカツは作り置きなので若干硬くて厚切りでもないけれど、570円で味噌汁付きならバランスでしょう。
豚汁定食(410円)は具沢山の豚汁と、サイドディッシュには千切りキャベツ。コロッケかアジフライをチョイスできます。これに生卵30円と納豆50円をつけ、サラダ150円をつけると640円。ちょっと贅沢。
タンメン(570円)は一般の町中華と比べて野菜の具が2倍はあるので食べ応え充分。豚コマやキクラゲも量が多く、文句なしの具沢山です。
※タンメンはレギュラーメニューではなく、サンマーメンなどと週替わりで切り替わる模様
もう一つオススメしたい点が、ここ波止場食堂山下店は、PW付きではないものの、施設のWi-Fiが無償で利用できる点です。実は以前の波止場食堂山下店は本当に埠頭の入り口、にあったのですが、老朽化と、きな臭い再開発(IR) の関係で現在の場所に新築移転された建物です。
よって施設は清潔だし、空調も効いているし、トイレも温水洗浄便座付きです。このWi-Fiを使って旅の予定を組んでもいいでしょう。常識の範囲内でコワーキングスペースとして使う手もありますね。
さらにここ、当然ランチ営業もやっていて、平日なら朝10時から13時30分まで、土曜日は11時から13時までの営業です。中華街で人混みに揉まれるのも旅でしょうが、地元港湾労働者のランチというものを味わうのも旅の醍醐味ではないでしょうか。決して観光ガイドには載らない横浜山下町の朝食とランチの穴場、〈波止場食堂山下店〉を強くオススメします。
埠頭といえば野良猫、というほど、横浜では見かけます。山下ふ頭のねこ。
波止場食堂山下店
横浜市中区山下町277-1 山下厚生センター1階
平日6:30~9:00/10:00~13:30
土曜7:00~9:00/11:00~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
2)波止場食堂出田町店 (出田町ふ頭)
「いづたまち」と「でたまち」の二通りの読み方がある、出田町埠頭にある〈波止場食堂出田町店〉は、京浜急行の「神奈川新町」駅から徒歩15分くらいの場所にあります。横浜市民でもこの埠頭の存在を知る人は少ないです。冬の朝、早起きして、ウォーキングを楽しみながらお出かけしてみてはいかがでしょう。
土曜の朝だとさほど混んでいません。
かき揚げそば350円・大盛100円。個性的なかき揚げですね。出汁は濃いめ。蕎麦麺は平均点でしょうか。
タンメン450円。紅しょうがを無料トッピングしてすすると温まること請け合いです。
〈波止場食堂出田町店〉の家系ラーメン500円。良い意味でくどくなく、もたれないスープです。タンメンもそうですが、ここの中華麺は特長があって美味しいと思います。どこから仕入れているのかしら。
豚コロ定食550円はさいの目にカットされた柔らかい豚肉が、ボリュームもあって美味い。カップに入ったソースに、おろしニンニクをセルフで盛って食すとこれまた美味。口臭とお腹が気になる方は注意。
マーボ丼500円に、鶏唐揚げ3個200円をつけて。とってもボリューミーです。
肉野菜炒め定食は600円。食べ応えありです。
カレー大盛り500円。ライスの量、半端なし。
ここは通し営業なので、時間を気にせず入店できる点がいいですね。施設自体のWi-Fiはありません。また、建物が古いためトイレの設備も古いです。用を足すなら駅との途中にあるオフィスビル「ニューステージ横浜」で借りましょう。
出田町埠頭にもねこがいます。
波止場食堂出田町店
横浜市神奈川区出田町3の1 出田町ふ頭厚生センター
平日6:30~14:30
土曜6:30~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
3)波止場食堂つばさ店(大黒ふ頭)
横浜の波止場食堂と言えば、一大勢力なのが3店を擁する大黒ふ頭です。
〈波止場食堂つばさ店〉は、JR鶴見駅東口から市営17系統の大黒ふ頭循環バスに乗って、埠頭の事業従事者とともに現地へ向かいます。「大黒ふ頭」バス停から徒歩5分程度で到着です。
カフェテリア方式で、好きな料理をトレーに載せながら進み、最後に会計を行う方式です。入口は2か所あって、これは海員生協売店側。
こちらが、表通り側の入り口です。正面奥がカフェテリアカウンター。手前には麺類専門のカウンターと自販機があります。ここも嬉しいのは施設のWi-Fiが使えること。PWなしのものですが、そこは自己責任で。
天玉そばが340円。値段の割にバランスが取れたおいしいお蕎麦です。
サラダや唐揚げ、豚汁と生玉子に納豆をつけて、しめて700円で満足ランチ。昼でも余り混んでいないです。
カレーは400円。納豆と生玉子を追加しても500円でおつりが。ルーはコクがあっていけます。
〈波止場食堂つばさ店〉が入居する「大黒ふ頭厚生センター」には、かつて診療所やバーバー、そしてシーメンズクラブまでもが入居していたことがわかります。海員生協が運営する売店も規模が大きく、お土産に買って帰りたい惣菜やパンの種類が意外と豊富です。
埠頭といえば猫。ここ大黒埠頭でも見かけます。大黒ふ頭循環バスは、朝は7時台、8時台はバスの便も多いですが、9時以降は1時間に1本となってしまうので注意です。
波止場食堂つばさ店
横浜市鶴見区大黒ふ頭1 大黒厚生センター
平日7:00~13:30
土曜7:00~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
4)波止場食堂レストハウス店(大黒ふ頭)
大黒ふ頭のもう一つの波止場食堂は〈レストハウス店〉という名称で「L4バース」バス停から歩いて5分かからないところにあります。ここも海員生協の売店が併設されています。
画像のとおり、各メニューが安価で提供されています。
〈波止場食堂つばさ店〉ほど広くはありませんが、
このお店の特長として、パンや焼きそばなどのテイクアウトの種類が豊富である点が挙げられます。ついつい買って帰りたくなってしまいます。
タンメンはここで食すなら出田町埠頭や山下埠頭の食堂のほうがいいものを出しますね。セットの半チャーハンは正直口に合いません。このお店はWi-Fi設備はありません。トイレも屋外にあって、とても寂れた印象で使うことがためらわれます。
メニューが安いのはいいのですが、味も相応といった印象でした。パン類の印象は追って書きますね。こちらにもねこがいます。
波止場食堂レストハウス店
横浜市鶴見区大黒ふ頭15
平日7:00~15:30
土曜7:00~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
5)波止場食堂Y-CC店(大黒ふ頭)
大黒ふ頭の波止場食堂、3店目は〈波止場食堂Y-CC店〉です。「横浜港国際流通センター(Y-CC)」に入居します。
流通センターを経由して循環する市営バスは平日の7時台と8時台は本数が少ないので注意です。逆に9時以降は全て経由するものの、本数が1時間に一本になってしまう。建物の前にバスは停まります。
建物は新しく、Wi-Fiも繋がります。ファミマに委託しているコンビニ海員生協の「ポートストア」も併設されていて便利です。
ここの波止場食堂は他店と違って早朝の営業をしていません。厚生協会のサイトを見ると、かつては早朝営業をしていた様です。更新されないまま、かつての営業時間が載っています。需要がなかったのでしょうか。現在は10時開店です。
店内は明るい日差しが差し込みますが、
それほどメニューが豊富とは言えません。やはりそれなりの営業規模なのでしょう。
他店と比して、店員にも覇気を感じません。
天ぷらそば290円は過不足のないものです。「横浜港国際流通センター(Y-CC)」はこの食堂以外にも、Wi-Fiがつながるテーブルセットが多数あるスペースがあるので、PC作業する場所として機能させてもいいでしょう。
ここのオススメは2階からの眺望。東京湾を行き来する船舶越しに三浦半島が綺麗に臨めます。晴天の澄んだ陽気の頃行くことをお勧めします。画像はiPhoneXのもの。もっときれいな画像に差し替え予定です。
※2Fは平日の11:00~13:00まで限定オープンです。
波止場食堂Y-CC店
横浜市鶴見区大黒ふ頭22 Y-CC内
平日10:00~14:00
土曜10:00~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
6)波止場食堂濱店(本牧ふ頭)
波止場食堂濱店(本牧)は通し営業をしていないのと、横浜駅方面からだと余り本数が多くない26系統のバスで30分ほど揺られることになります。ただし、最寄りのバス停からは歩かずにすみます。
モーニングの7-9時の営業時間を逃すと、10時のランチ営業まで待つことになります。
とはいっても、納豆や生玉子、豚汁とライスをバラで注文できるので券売機で4枚券を発行してカウンターに持っていきます。
納豆と生玉子は冷蔵ケースからセルフでトレイに乗せます。これで400円ですからね。
絵面はなんですが、具沢山の豚汁がじゅうぶんなおかずになります。定食専門かもしれないけれど、きゅうりのQちゃん的な漬物と福神漬けは取り放題なのでここは他店と違うところ。13時半までと閉店が早いのも注意です。
ここも昭和に建てられた古い部類の食堂になります。共通するメニューは山下店でもいただけるものですし、埠頭の隣接道路は大きなトラックが往来しています。バスと徒歩でわざわざ出向く理由はないかも知れません。
波止場食堂濱店
横浜市中区本牧ふ頭1 本牧厚生センター2階
平日7:00~9:00/10:00~13:30
土曜7:00~9:00/11:00~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
7)波止場食堂B-7店(本牧ふ頭)
〈波止場食堂B-7店〉は、横浜市営バスの「船員センター前」バス停を下車して、本牧埠頭B突堤のかなり先のほうにあって、それなりに歩きます。15分弱位でしょうか。後述する理由も相まって余りお勧めしません。最寄りのバス停から歩いていくには若干のリスクが伴います。現役のB突堤はガンガンに大型トラックがコンテナを乗せて往来しているからです。
コンテナを持ち上げる巨大なフォークリフトのお化けみたいなのもいます。正直いって危険です。
天ぷらそばは他店同様290円だけれど、率直に言って店ごとに味の差は結構ありますね。ここのそばは余り美味しくない。〈波止場食堂〉各店は、デイリーの定食メニューは共通なので、仕入れは共通なんでしょうが、蕎麦麺にしても出汁にしても仕入れは共通していないのかもしれません。
これは中華麺にも言えることで、あるお店は細麺だし、あるお店は角のある中太麺だったりします。埠頭入口にはデカデカと「港湾関係者以外立入禁止」の看板が掲げられていますし、道交法の範疇から除外されていますので、交通標識の類もありません。そこまでリスクを犯す必要もないかと思いますので、自家用車の運転に自信がある方を除き、余り徒歩での訪問はお勧めできない物件となります。
波止場食堂B-7店
横浜市中区本牧ふ頭B7号 上屋内
平日7:00~13:30
土曜7:00~9:00/11:00~13:00
休日 日・祝日及び年末年始
【横浜の波止場食堂・まとめ】
こうやってまとめてみますと、必ずしもおススメできる店ばかりではありませんが、港湾労働者の胃袋を満たす存在として、需要は続いていくでしょうね。そんな中で、menehuneがおススメする〈波止場食堂〉は、1.〈波止場食堂山下店〉と、2.〈波止場食堂出田町店〉そして、3.〈波止場食堂つばさ店〉でしょうか。他店と比べ交通の便が良く、施設とメニューのバランスが取れています。〈波止場食堂つばさ店〉は途中の車窓から望む横浜港と富士山の景観がおまけで付いてきますが、大黒ふ頭は路上のポイ捨てごみの惨状が目に余るのが難点です。
港湾エリアのもう一つのおススメ、〈海員生協〉食堂の記事も書きました。以下からどうぞ。