2007年9月、山下町にあったストロングビルが解体されるということで、横浜市主催の見学会が開かれました。ストロングビルの建築年は1938年(昭和13年)、設計は矢部又吉。3階建ての小ぶりなビルですが、ヨコハマに残る貴重な近代建築でした。
1階のテナントプレートと郵便受け。
2階のストロング株式会社の入居していた部屋。横浜にかつて数多く存在した外国商社のひとつ、ストロング商会の拠点として建設され、解体時まで使用されていました。
係員の方の説明では、この窓枠は竣工時から現存するものだそうだ。
階段室の明かり取り。
テナントとして使われていた部屋。味がありますね。どうしてこんな共同住宅を建てる会社がないのかしら。普通に満室になると思うけど。
分電盤のプレート。昭和13年、東京の「藤電機製作所」というところが納入したらしい。調べたら今でも現役で存在する企業で、高低圧各種配電盤、制御盤、計装盤等の設計・製作を手がけています。
居室の窓枠その2。とても味がありますが、虫が入ってくるという点では実用に躊躇するのかもしれませんね。
ストロングビルの立面図と1階~3階の平面図。ダイワハウス工業の手によるもの。再開発は同社が手がけるのかな。
同じくダイワハウス工業による建物正面立面図。少子高齢化を迎えた成熟社会の日本で、何故こうした趣のある建築物が建てられないのかな、と最近思う。経済効率優先の縦に長いビルが選択肢のすべてではない気がするのですが。耐震・防火構造を導入する以外、すべて往時のデザインセンスと建築材で冒険する施主やディベロッパーが出てこないものかしら。
役目を終え搬出を待つセントラルヒーティングのラジエーター。通っていた大学にもこんな集中暖房の装置があったなあ。正式には何ていう名称なのかしら。たとえはつきなみだけどニューヨークを連想しますね。
こんなプチホテルやアパートメントあってこそのヨコハマだと思う。跡地には高層ビルが建つが、低層部は解体した部材を再使用した外装がハリボテ風に再現されるらしいです。