放送中の京都アニメーションの新作アニメ『氷菓』でクレジットされている〈加茂花菖蒲園〉に行ってきました。今回の先行聖地巡礼の旅、吉と出るか?本文とは全く関係ない、地元の駅に掲出されていた『氷菓』コミックの交通広告。角川さんも力が入ってますね。
新横浜から新幹線でJR掛川駅まで。そこから隣接する〈天竜浜名湖鉄道〉に乗り換え、で〈原田駅〉下車。
〈原田駅〉はホームと簡単な庇しかない無人駅です。
田園地帯を20分ほど歩くと、それらしい建物が見えてきます。
雰囲気としてはここが〈古典部シリーズ〉の「陣出」でもいい気がします。 〈加茂花菖蒲園〉は、静岡県掛川市原里110にあります。
わざわざクレジットされているということは、何らかの形で劇中登場するでしょう。
加茂花菖蒲園の入園料は1,050円。その敷地内にあるのが〈庄屋屋敷加茂荘〉。加茂家は信長、秀吉が政権を握っていた桃山時代からこの地の庄屋だったそう。その加茂家の邸宅が加茂荘。この意匠がアニメ「氷菓」において、〈千反田える〉自宅モデルとなるかどうか気になったので、訪ねてみました。先行聖地巡礼です。
まだ花は咲いていませんが屋敷の前は菖蒲の水田が広がっています。
「広大な田圃の中に建つ千反田家は、なるほどお屋敷と呼ぶに相応しかった。」 ※『氷菓』原作から。
蔵は明治時代に改築されたもの。味がありますね。
長屋門です。220年ほど前、江戸時代のものだそう。門をくぐって屋敷の中に。
〈庄屋屋敷加茂荘〉の建物自体は茅葺き屋根だったものを明治時代に瓦屋根に改築。その際2階建てになったそうです。正面玄関は公開されていません。
〈加茂荘〉内部です。太い梁が目を引きますね。ここは「出居(でい)」といって、居間と来客接待用の部屋とを兼ねたもの。右側が土間になっています。
〈加茂荘〉内部、上がりから土間方面を見たところ。左奥の暖簾の先は現役の台所として機能しているようです。
土間方面から。手前の板の間で食事を配膳し、奥の畳の間で食卓を囲んだそうです。
〈加茂荘〉の庭には広い池があります。鴨が放されていて、50円で餌をやれます。なので、とても人になつく鴨を見ることができます。
客間が奥に続いていて、10畳の部屋が4つ並んでいます。いちばん手前のこの部屋は、
二面が障子張りで、障子を開けると風の通る涼しい部屋です。座敷に上がって見学するには、菖蒲園の入園料とは別に500円かかります。
部屋を外側でつなぐ廊下。庭側には縁側もあります。
〈加茂荘〉の建物そのものを俯瞰できる場所がないので、全体像は想像できないが、日本家屋としての雰囲気は十分です。はたしてアニメ『氷菓』でこの物件が描かれるのでしょうか。
〈加茂花菖蒲園〉は温室の花もきれいです。
広がる田んぼ。〈加茂花菖蒲園〉を後にし、来た道を引き返し帰路へ。帰りは〈原谷駅〉までひと駅分歩いてみた。原野谷川という川沿いの道はすべて桜の木。調べたらここの堤防の桜並木は有名なんですね。
〈原谷駅〉。登録有形文化財。天竜浜名湖鉄道は近代化産業遺産系の見どころがたくさんあるようです。鉄系の方にとっては当たり前なんでしょうけど。世の中分からないことだらけです。そして気づくことなく終わることがほとんどなんでしょうね。
今回の旅も、掛川から〈加茂花菖蒲園〉までの交通手段と経路は事前に調べたけど、その気動車が浜名湖の三ケ日まで走っていることは切符売り場で知ったこと。実は三ケ日は母の実家があり、私が幼いころはJR豊橋駅から「二俣線」で尾奈という駅まで行き、そこで母の実家の軽トラに拾ってもらったものだった。不思議な巡りあわせを感じた今回の先行聖地巡礼の旅でした。
さあ、アニメ『氷菓』4話。〈千反田える〉の自宅ははたしてどのように描かれるのでしょう。楽しみです!