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映画「夜は短し歩けよ乙女」を観た。


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映画「夜は短し歩けよ乙女」を観た。

森見登美彦原作のベストセラー青春恋愛小説がアニメーション映画化。
主人公“先輩”役に星野 源。ヒロインの“黒髪の乙女”役に花澤香菜
監督は、「四畳半神話大系」や、映画「マインド・ゲーム」の湯浅政明
また脚本の上田 誠(ヨーロッパ企画)、キャラクター原案の中村佑介、さらに主題歌ASIAN KUNG-FU GENERATIONという、「四畳半神話大系」の最強チームが再び集結!(公式サイトに加筆)

平日朝9時の回だったので、周りの客がおらず、まったり楽しめた本作。
湯浅政明はんの作品は、いままで未見。本作の後、5月には次回作「夜明け告げるルーのうた」が控えている。
君の名は。」の超絶ヒットで景気の良い東宝はんは、映像事業部にも予算配分を増し、本作や「ルーのうた」といった実験的な作品をかける余裕があるのだろう。因みに「夜明け告げるルーのうた」の脚本は吉田玲子はんも噛んでるぞ。期待なのだあ。

とはいえ、湯浅カントクの作品を全く観たことがないmenehuneにとって、「夜は短し歩けよ乙女」の映像の見せ方は、やはり若干の拒否感を持って迎えられ、それは木屋町で繰り広げられるドタバタからの〈詭弁踊り〉辺りでマックスを迎え、劇場出ようかな、と思ったりもしました、正直。
そこからは“黒髪の乙女”のパンチラに期待しつつも、“古本市の神様”のクソガキっぷりに本気でイラつきつつ、“先輩”さあ、下ネタ多すぎませんかね?とスクリーンに突っ込みを入れたりしていたのだが、京都大学吉田キャンパスで繰り広げられるドタバタ辺りから本作は調子に乗り始め、グイグイ引き付けられる。
恐らく二度と同じ旋律で歌えないであろう〈ゲリラ演劇〉のクライマックスで歌唱される、ミュージカル的味付けは、まさかの涙を誘う展開に豹変するのだ。
新妻聖子はん演じるキャラと、公式サイトにクレジットはないが、小清水亜美はん演じるキャラが凄いことになっている。本作最大の見せ場は、この京大キャンパスでのシークエンスであろう。

そこからラストまでの展開は、いわゆる童貞こじらせ系男子の妄想あれこれを、アニメーション的な動きや演出でフォローしているだけで、特段面白いものではない。大学の講堂と学生を主人公の「インサイド・ヘッド」よろしく演出する辺りは面白いが、ああいった講堂を知らないヒトには婉曲だろうし、風邪ひいてるのに電気ストーブが頭の上で作動してるとか、ホンマにこいつ京大生(しかも院)かいな、という部分もある。

全般、特に物語冒頭の木屋町から先斗町、そして物語終盤の人気(ひとけ)のない出町柳駅から鴨川デルタ、そして出町柳商店街辺りまでの背景が、その美術的描き方も含め秀逸なのは本作の美点。
片や、原作味読のせいもあるのだろうけど、“先輩”のキャラはまだマシながら、ヒロインであるところの“黒髪の乙女”のバックボーンが「ない」ため、感情移入できない、というヒトは多いと思う。そんなに目くじら立てんでも、という声もあるだろうが、酒飲み過ぎだしね。あれは普通に致死量超えてるはず。
あとは、〈ナカメ作戦〉の馬鹿ばかしさ加減ですか。あんなもので恋する女子が振り向いてくれるなら、誰も苦労はせんわ。
花澤香菜はん演じる“黒髪の乙女”、星野 源はん演じる“先輩”とも、演技の違和感はなく、星野はんは〈スーパースケベタイム〉の実力、恐るべしである。

今出川通の京大吉田キャンパス向かいにある「カフェ新々堂」や、京大そのもの、結構ロケーション協力している施設があるので、巡礼してみるのもいいかもしれないが、妄想対象が、本作のキャラクターというのでは、やや動機に欠けるところがあるのかもしれない。

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