アラフィフの方なら記憶に残っている映画かも知れない。1992年(平成4年)に公開された劇場映画『エンジェル 僕の歌は君の歌』という作品を。
日本ラグビー界の花形と謳われながら、平凡なサラリーマンに甘んじる大川竜彦は、ある日天使と出会い、別れた恋人があと一週間の命だと知らされる。彼は彼女のために、出来る限りのことをしてあげようと決意するが。。。
〈大川〉を織田裕二。その恋人〈香織〉を和久井映見。コメディエンヌとして天使役を大地真央が好演した作品だとmenehuneは認識している、平成4年の作品だ。
三人の演技もさることながら、主題歌としてフィーチャーされた、エルトン・ジョンの名曲“YOUR SONG“ の存在が果たした役割は大きい。
当時何度もレンタルビデオ店で本作VHSを借り鑑賞した記憶がある。その後月日は流れ、『Love Letter』もBlu-ray化されたことだし、本作もそろそろ円盤化してもいいんじゃないかなあ、なんて思っていましたが一向にその気配はありません。
とうとう2021年になっても、公開から30年近く経過しても動きはありません。一説には、エルトン・ジョン側が楽曲の使用許諾を出さない(または非常に高額)からだとも言われています。
しかし、つい最近、コロナ禍で劇場に足を運べず、見逃していた作品をアマゾンプライムで見ることができました。その作品は『ロケットマン(原題:Rocketman)』だ。
ご存知の方も多いだろうが、本作は「YOUR SONG/ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」などで知られるミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を、意表を突くミュージカルスタイルで描いた伝記ドラマだ。
エルトン・ジョンを演じるのは『キングスマン』シリーズなどのタロン・エジャトン、エルトンの楽曲のほとんどを作詞したバーニー・トーピン役に『リヴァプール、最後の恋』などのジェイミー・ベルのほか、『ジュラシック・ワールド』シリーズなどのブライス・ダラス・ハワードらが名を連ねる。『キック・アス』などのマシュー・ヴォーン監督とエルトン自身が製作を務め、『サンシャイン/歌声が響く街』などのデクスター・フレッチャーがメガホンを取った。
エルトン・ジョンが自らゲイであることをカミングアウトしたのは、1970年代だと言われるが、劇中では名曲“YOUR SONG“ がどのような経緯で世に産まれたのか、その一端を垣間見ることができるエピソードがある。
※このエピソードはYouTubeで見ることができる
エルトン・ジョン「YOUR SONG(僕の歌は君の歌)」名曲誕生の瞬間! 映画『ロケットマン』本編映像
そしてそのエピソードを見てしまうと、映画『エンジェル 僕の歌は君の歌』がなぜディスク化されないのか、妙に納得してしまう。裏付けは全くないのだけれど。
もちろん曲自体に罪はないし、それをもって『エンジェル〜』の魅力が色褪せるということでもない。単純な金銭面での大人の事情なんていうのは野暮ったいし考えたくもない。ただ『ロケットマン』の劇中で描かれるエルトンと、作詞家としてのパートナーだったバーニー・トーピンとの関係性を見知ってしまうと、純粋にエルトン側の気持ちは分らんでもないな、と思うのだ。
ゲイであるエルトンに対し、それを知りながらあの詩を贈ったバーニーは、異性愛者であり、エルトンからの求愛をキッパリと断っているのだが、友人としての絆が失われたわけではない。その二人の関係性を劇中で象徴しているのが、“YOUR SONG“ なのだ。
以上、かなりネタバレしてしまった感はある。また劇中ちょっとハードな同性愛者のラブシーンがある(レイティングはPG12・小学生には助言・指導が必要)ので、苦手な方はパスでいいと思うが、映画『ロケットマン』は今更ながらお勧めできる作品だ。そして、それでも『エンジェル 僕の歌は君の歌』のBD化はあきらめきれないのだ。