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アニメ「風立ちぬ」を観た。


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アニメ「風立ちぬ」を観た。

【7月28日追記】
以下、若干のネタバレがありますので、未見の方はご注意を。


都合3回観ました。

率直に言って、面白い、泣ける、美しい。
ただし、小学生が見ても退屈だろう。大人向けの作品である。
しかし、大人といっても、飛行機、特に旧日本海軍の航空機の開発史に興味が無いヒトは観ていて辛いと思う。
小学生の頃から「丸」を読み、戦艦、戦車のプラモを組み、小林源文のコミックに刺激を受け、監督自身のロシア戦線のコミックにも当てられた私のような方なら当社比150%で楽しめるのだが。

早い回ではともかく、お昼ごろの上映ともなると、子供連れのお母さんや女子高生の姿を結構見かける。
しかし、女子高生は結構寝てましたね。解らなくもありません。
お話の殆どが航空機の設計にまつわるからなのですが、終盤20分の流れは圧倒的である。
この20分がこの作品のすべてと言ってもいい。

公開前は、主人公、堀越二郎のキャストがあの、庵野秀明はんで大丈夫か?という話題で持ちきりだったが、鑑賞中の私にとってそれは杞憂であった。
棒気味ではあるが、むしろ周りの俳優、声優はんの演技を引き立たせるという、思いのほかの効果を発揮している。
これで堀越二郎のキャスト(青年期以降ね)がキムタクとかだったら、また見え方も違ったんだろうなあと。
庵野はんがあのレベルの演技をしてくれたお陰で、ホント、他の役者の演技が引き立つんですよ。
このキャスティングは正解だと思います。

初見では気づかなかったが、二郎の学校にとあるものを届けに来たお絹の恋慕に思いを馳せ、同じように「白馬の王子様」として二郎を想っていた菜穂子の心情を察するに、とても文学的ではないか、と思う。
そして、黒川夫婦を仲人として菜穂子と二郎が婚姻の契りを交わすシーン
ここで泣かないヒトは。。。いるんだろうけど、私は号泣してました。

加えて、終盤のとあるシーン、黒川婦人を演じる大竹しのぶはんの台詞からの、二郎の妹、加代の泣き演技では思わず嗚咽した。

いまのところ、今年のマイ・ベストテン入り作品になるのでは、と思っている。

煙草飲みのわたしにとって、煙草をふかすシーンがやたら多いのは目の毒。
いま現在は知らないが、宮崎監督がヘヴィ・スモーカーなのは知られたこと。

いずれにしても、二郎の姿に宮崎監督自分を重ねて本を書いたことは容易に想像できる。
軍事マニアであり、兵器マニアである監督だが、技術者の夢の成果物は、ひとごろしの武器として運用される。
堀越二郎零戦を描くということは、ナウシカを描くこととは180度異なる。
ファンタジーで決着できる戦争と、現実の戦史そのものを描くことは、いらぬ突き上げを食らう可能性だってある。
しかし、宮崎監督は、技術者は夢を追い、たとえそれが兵器として使用されようと、そこは我関せず、という語り口で切り抜けた。それでいいと思う。
そこに下手な思想は要らないのだが、やはり冒頭からラストまで、テクノロジーと兵器、戦争という矛盾に葛藤し、二郎自身が苛まれていた描写・演出は物語上描かざるを得ないだろうし、大事なものを二つ失うという喪失感の暗喩としての役割も果たしてはいるだろう。

堀 辰雄の「風立ちぬ」も読んだ。映画内では原作から引用した作画、演出がところどころ描かれている。ただし、まったく話の筋は別物であります。
あっという間に読み終えるので、機会があれば読んでみてください。

ED曲、ユーミンの「ひこうき雲」であるが、アレは私の理解では、若くして逝った「少女」(少年でもいいが)のことを歌った曲であるが、少なくとも、菜穂子が「空に憧れていた」という描写は本作には無かったので、どうなんでしょう。

海軍機の開発過程の描かれ方が、「紺碧の艦隊 特別編 蒼莱開発物語」に似ていたのは、徳間書店はん繋がりなのかなあ、と。牛の件とかね。同じ参考文献でもあるのでしょう。

あと、蛇足だが、避暑地のホテルで、輪ゴムを使って二郎が菜穂子に向けて紙飛行機を飛ばすシーン、ああいった行為も、宮崎監督の愛情表現を「地」で描いたのかももしれないが、あそこだけは引いた。
コメディになってもいないし、彼女への思いやりも感じられない。
二郎自身に起こった事故寸前の行動を菜穂子にもさせたいのか、この男は、と思ったりした。

話を戻すと、ラスト20分(電報、といっても解らない層は多数いる、の辺りからね)の恋愛描写(「来て」とか、キスとかね)は、これがジブリ作品か? と思わせるほど、甘く切ない。
ただ、これら一連の演出は、やはり若年層には理解できないんじゃないか、とも思ってしまう。
宮崎監督の着地点が、ここなのか、と思うと、やはり「思えば遠くに来たものだ」の感ひとしおである。

それと、監督のコミック、単行本化されないんですかね。もったいない。

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