映画「海よりもまだ深く」を観た。
是枝裕和監督の作品は好きで、幾つか拝見したが、今作は駄目だ。きつい。
過去作の中でも「笑い」を意識した脚本、演出が印象的。中盤までは劇場が爆笑するシーンを挟みながら進行する。是枝監督作品としては珍しい方。
しかし、男の私が見ても樹木希林が演じる母親の行動は重すぎる。
阿部 寛が演じる息子のほうも、母親に接する態度や、元妻に対する言動がいかにもありそうで、観ていて辛い。
こんな息子でも、自分の血が繋がった息子に対しては闊達に接しているかと思うと、それは所詮実家に近づくだけの道具だったりするので、その扱いには呆れる。
この親子、互いに子離れ、親離れできていないのは明白なのだが、鑑賞者ごとにその線引きのラインをどこに置くかは、実生活で差があるだろうから、その心積もりによって、この作品の感想は変わってくると思う。
また、女性からして見たら、更にこの作品の鑑賞はしんどいかもしれない。真木よう子演じる元妻から、示唆に富む台詞がいくつか吐かれるし、女性は共感せざるを得ないだろう。
姑の、元妻に対する、これでもかという泣き落としの件が後半あるが、げんなりされた方も多いのではないだろうか。
物語のラストを迎え、この家族はどうなるのだろう、という問いかけをされているような気もしたけど、目に見える外見上はこのままなんでしょうね。
もっとも、前記したとおり、これは家族観に対する考え方の違いによる、私の感想なので、もっとニュートラルに結婚後の家族のあり方に接することが出来る方にとっては、もっと心に響く作品になるのだろう。
冒頭、駄目とは書いたが、日常の中のリアルをごく自然に見せられちゃうものだから、反応に困る、ってことであって、これがこのカントクの真骨頂といえば、それはまっとうすぎる褒め言葉。
本作を観た方の大半が鑑賞後駆け込むのがここ。ピンボケだけど。
カレーうどん!